Canon Clinical Report(キヤノンメディカルシステムズ)

2025年4月号

高速撮影、AI活用の画像再構成技術による高画質・高スループットで当日検査に柔軟に対応 〜0.24秒回転と心臓の動き補正技術「CLEAR Motion(Cardiac)」で確実な冠動脈CT検査を実施〜

平塚共済病院

平塚共済病院

 

放射線科・武内弘明 部長

放射線科・
武内弘明 部長

裵 慧烈 医師

裵 慧烈 医師

循環器内科・大西祐子 統括部長

循環器内科・
大西祐子 統括部長

加藤靖治 技師長

加藤靖治 技師長

小宮山 明 主任

小宮山 明 主任

 

 

神奈川県平塚市の平塚共済病院(441床)は、救急センターをはじめとして心臓センター、脳卒中センターなどで24時間体制で湘南西部地域の患者を受け入れている。同院では、2024年1月からキヤノンメディカルシステムズのArea Detector CT(ADCT)のフラッグシップ「Aquilion ONE / INSIGHT Edition」が稼働している。2025年2月には、心臓の動き補正技術である「CLEAR Motion(Cardiac)」の利用も始まった。予約外の検査が多くを占める放射線科での運用と、CLEAR Motion(Cardiac)の冠動脈CT検査における初期経験を中心に放射線科の武内弘明部長、裵 慧烈医師、加藤靖治技師長、小宮山 明主任、循環器内科の大西祐子統括部長に取材した。

急性期医療から在宅介護まで地域完結型医療を提供

平塚共済病院は、1919年に海軍共済組合の施設として開設され、現在は国家公務員共済組合連合会の総合病院として、平塚市や近隣の大磯町、二宮町など湘南西部地域で急性期医療を展開している。「患者が安心でき、地域から信頼される病院」の基本理念の下、救急医療や循環器疾患、脳神経疾患に対する専門医療、がん診療や手の外科などの整形外科といった高度で専門的な医療を提供する。また、地域医療支援病院として近隣の医療機関と緊密な連携を構築する体制を取っているほか、在宅医療や訪問看護、介護施設との連携なども積極的に行い、地域完結型の医療を提供しているのが特徴だ。
放射線科は、診断の常勤医師は2名で、非常勤医師も含めてCT、MRI、RIの読影を行っている。診療放射線技師は23名で2台のCTのほか、MRI2台、血管撮影室2室、X線透視2台、RI検査装置、放射線治療装置などを運用している。

迅速な検査と高画質を評価してADCTを導入

同院では、2024年1月にCTを64列(他社製)から320列のAquilion ONE / INSIGHT Editionに更新した。CT検査は現在、他社製16列との2台体制で1日120〜150件だが、救急など当日検査が多くを占めている。武内部長は、「救急など急性期疾患におけるCTやMRIの臨床的な有用性は確立していますので、診療科からの依頼にはできるだけ応えるようにしています。特にCTに関しては救急を含めて可能なかぎり当日検査に対応しています」と話す。CT検査担当の小宮山主任は、「基本的に当日検査の依頼は断らない方針で、2台で検査を割り振って柔軟に対応しています」と説明する。心臓や血管系など高度な対応が必要な検査はAquilion ONE / INSIGHT Editionで行っており、2台の検査の割合はほぼ半々となっている。
加藤技師長は、「検査予約待ちが1か月を超えることがあり、当日の依頼が増える要因にもなっていました。その一つに30分枠の心臓検査があり、これをできるだけ短縮して待ち時間を解消したいと考えて、今回の更新では心臓の高速撮影を主に評価して機種選定しました」と述べる。今回のCT導入について武内部長は、「救急を含めて緊急性の高い検査に迅速に対応するためにも、CT装置には画質や最新の撮影技術だけでなく、撮影のスピード、被ばくや造影剤の低減など患者ニーズにも応えられることを求めました。更新に当たっては、各社の上位グレードの機種を中心に、性能だけでなく信頼性や保守サービスなどトータルに判断しました」と説明する。

高速撮影で予約外当日検査に迅速・柔軟に対応

Aquilion ONE / INSIGHT Editionは、0.24秒回転の高速撮影などのハードウエア技術やAIによる超解像画像再構成技術「Precise IQ Engine(PIQE)」を統合したフラッグシップCTである。武内部長はその運用について、「PIQEでは優れたノイズ除去技術によって高画質でクリアな画像が得られていますが、それだけでなく画質を落とさず低線量撮影も可能です。低管電圧撮影やdual energy撮影などを含めて、頭頸部、体幹部から整形領域まで多様な疾患がある当院の検査に高いレベルで対応できます」と言う。
同院では肺野と骨条件を除いて、すべてPIQEを使用している。肺野領域では、呼吸器科からの以前の画像との継続性を重視したいという要望で「Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)」で処理を行っている。胸部撮影ではディープラーニング技術を用いた動き補正技術である「CLEAR Motion(Lung)」を使用しており、胸部の画像について裵医師は、「心拍動によるモーションアーチファクトが抑えられており、肺野の病変がクリアに見えることで読影時のストレスは減っていますね」と評価する。
また、Aquilion ONE / INSIGHT Editionでは、160列、ガントリ回転速度0.24秒、寝台移動秒速45cmでのヘリカル撮影によって、広範囲を高速で撮影が可能だ。武内部長は、「救急では息止めが困難な患者もいますが、Aquilion ONE / INSIGHT Editionでは体動の影響の少ない画像が得られ評価が可能です」と言う。肺がんCT健診では、SilverBeam FilterとPIQEの適用で以前より低線量での撮影が可能になった。小宮山主任は、「以前から撮影は行っていましたが、PIQEによってさらに低い線量で撮影ができています。画質に関しても読影する呼吸器科から評価を得ています」と言う。
Aquilion ONE / INSIGHT Editionでは、検査自動化技術「INSTINX」で撮影業務を支援するが、その一つの3D Landmark Scanでは、三次元データを含めた位置決め画像を低線量で撮影し、臓器の自動認識(Anatomical Landmark Detection)によって最適な撮影範囲を設定できる。小宮山主任は、「撮影範囲と撮影FOVを自動で設定するので、確認をするだけで撮影までの時間短縮になっています」と評価する。3D Landmark Scanのメリットとして小宮山主任は、「胸部の撮影時に位置決め画像の段階で肝囊胞などの存在が確認できるので、撮影範囲の変更がいち早くでき、追加撮影のリスクが減りました。頭部撮影でも立ち会いの医師が位置決め画像から出血の有無を判断でき、その後の処置や治療の時間短縮にもつながっています」と述べる。

心拍動の影響を低減するCLEAR Motion(Cardiac)

循環器内科は、心臓センターで心臓血管外科と連携して心臓および血管系の疾患に対応している。血管内治療としては、虚血性心疾患に対するステントやロータブレータなどを用いた経皮的冠動脈形成術(PCI)、不整脈のアブレーションなどを行っている。循環器内科医は11名で、PCI約300件、アブレーション約300件(2023年)となっている。大西統括部長は血管内治療の現状について、「循環器内科の医師はホットラインを持っており、オンコール体制で24時間365日対応し、救急を含めて基本的に依頼にはすべて対応できる体制を取っています。それだけに2部屋の血管撮影室はフル回転しています」と述べる。
冠動脈CT検査では、64列CTの時代には心拍数を下げるため検査室で循環器内科医の立ち会いの下、β遮断薬(コアベータ)を静注しており、検査にも時間がかかっていた。Aquilion ONE / INSIGHT Editionの導入で、心拍のコントロールは前投薬の経口薬のみでコアベータの使用はほぼゼロになった。大西統括部長は、「以前はカテ室の処置と重なることもあったので、業務的な負担は軽減しました」と述べる。小宮山主任は、「前投薬のみである程度心拍がコントロールできれば検査時間は前機種の2/3程度になっており、今後検査枠の短縮も期待できます」と言う。
同院では、最新ソフトウエアが2月下旬より稼働し、心臓のボリュームスキャンに対する動き補正機能であるCLEAR Motion(Cardiac)の利用が可能になった。CLEAR Motion(Cardiac)は、心臓のボリュームデータからディープラーニングを応用した精度の高いモーション推定によって、AiCEやPIQEとの併用でモーションアーチファクトやブルーミングアーチファクトの低減が期待できる。初期の印象について大西統括部長は、「クリアに描出されています。短軸像でも境界が明瞭で内腔の評価が容易になると思います」と述べる。同院では、地域の開業医からの依頼による冠動脈CT検査(連携枠)を行っているが、連携枠の患者については事前の心拍コントロールができず、満足な画像が得られないことが多いという。大西統括部長は、「読影に困ることも多かったのですが、CLEAR Motion(Cardiac)ではこういった心拍コントロールが不十分な症例でも判断可能な画像が得られるのではと期待しています」と述べる。

■Aquilion ONE / INSIGHT Editionによる臨床画像

図1 SilverBeam FilterとCLEAR Motion(Lung) SilverBeam FilterおよびCLEAR Motionを使用することで被ばくを低減しながら確信度の高い診断が可能

図1 SilverBeam FilterとCLEAR Motion(Lung)
SilverBeam FilterおよびCLEAR Motionを使用することで被ばくを低減しながら確信度の高い診断が可能

 

図2 高心拍症例(92〜94BPM)に対するCLEAR Motion(Cardiac) CLEAR Motionを使用することで石灰化近傍のアーチファクトが抑制され、プラーク沈着ではないと判断された。

図2 高心拍症例(92〜94BPM)に対するCLEAR Motion(Cardiac)
CLEAR Motionを使用することで石灰化近傍のアーチファクトが抑制され、
プラーク沈着ではないと判断された。

 

高画質と高速撮影が高いレベルの救急検査を実現

武内部長は、Aquilion ONE / INSIGHT Editionの稼働1年の評価について、「緊急対応が多く、予約外検査が多くを占める当院の運用では、より速く、より正確に検査を行えることが絶対条件で、Aquilion ONE / INSIGHT Editionは十分にその期待に応えてくれています。さらに状態の良くない患者様や、息止めができない患者様の撮影においても高速撮影、高速画像処理により、よりクオリティの高い画像を提供できており、病院全体の診療の質の向上に貢献していると感じています」と評価する。一方で武内部長は、「この装置で1日70件近い件数の検査を行う中で、撮影時間や再構成時間のさらなる短縮を望みたいですね」とも言う。
救急検査に迅速に対応するという同院の使命に、Aquilion ONE / INSIGHT Editionが高いレベルで対応していくに違いない。

(2025年2月27日、3月3日取材)

※本記事中のAI技術については設計の段階で用いたものであり、本システムが自己学習することはありません。

*記事内容はご経験や知見による、ご本人のご意見や感想が含まれる場合があります。

一般的名称:全身用X線CT診断装置
販売名:CTスキャナ Aquilion ONE TSX-308A
認証番号:305ACBZX00005000

 

国家公務員共済組合連合会 平塚共済病院

国家公務員共済組合連合会 平塚共済病院
神奈川県平塚市追分9-11
TEL 0463-32-1950
https://hrt.kkr.or.jp

 

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