乳がんにおける造影MRIは，組織における造影剤のWashinとWashoutを確認することが，腫瘍の良悪性鑑別に有用と言われている。今回は，「Ziostation2」に搭載されている“MRダイナミック解析”について紹介する（図1）。

図1　Ziostation2搭載のMRダイナミック解析

●直感的でスムーズな操作性

Ziostation2に搭載されたMRダイナミック解析は，データを開くと同時に乳房の形態を認識し，パラメトリックマップを表示する。表示されるマップは1クリックでWashinとWashoutを切り替えることが可能であり，腫瘍や周囲組織への造影剤濃染を元画像と組み合わせて観察できる。関心領域は，円描画に加え，矩形やポイントで描画可能であることから，病変全体の血流状態に加え，局所の細かな血流状態も観察することができ，複雑な形状を示す病変に対しても正確な診断が期待される。MRダイナミック解析は，ユーザーが直感的な操作でスムーズに解析できるアプリケーションであり，日々の診断・読影をサポートする。

●非剛体位置合わせを用いた正確なパラメトリックマップとtime intensity curveの作成

乳腺MRIの撮像では，撮像時に同一の姿勢を維持することが難しいため，わずかながら体動による位置ズレを生ずる。この位置ズレは，ピクセルベースの計算が行われるパラメトリックマップを生成する上で解決しなければならない課題である。ザイオソフトは位置ズレに対して，これまでに培った位置合わせの技術を用いて，乳腺MRIに特化した非剛体位置合わせを開発した。この技術を用いることにより，体動による位置ズレを補正し，より正確な解析が可能となる。位置ズレの少ないパラメトリックマップとtime intensity curveを表示することで，病変内部や周囲組織の血流状態を，視覚的かつ定量的に評価できる。また，複数相の解析が行えることから，近年注目されている超早期相でのtime intensity curveの解析も可能である。