近年の医用画像ワークステーションの役割は，診断の補助にとどまらず手術前のシミュレーションや術中での画像参照，手術後のフォローアップなどに広く臨床利用されている。なかでも，肝臓や腎臓における悪性腫瘍などの切除手術においては，鏡視下手術やロボット支援下手術の増加により，3Dによる詳細な術前シミュレーションや術中ナビゲーションの果たす役割は大きく，診療報酬における加算対象手術も適用拡大し，いまや欠かせないものとなっている^1）。
本稿では，「Ziostation REVORAS（以下，REVORAS）」の腹部領域における手術支援アプリケーションを中心に紹介する。

■手術支援画像作成におけるREVORASの活用

手術支援画像の作成では，さまざまなモダリティや撮影時相の異なる複数のデータを使用しマルチレイヤー表示することで，病変と周囲の血管や組織の位置関係を明瞭にした観察しやすい画像作成が求められる。REVORASではこのような手術支援画像の作成をアシストするために，さまざまな自動抽出機能を備えている。REVORASに新たに搭載された「トランスペアレンシー」は，オパシティカーブやウインドウレベルに依存せず，構造物辺縁の輪郭を残したまま画像を透過表現することができる。これにより，構造情報を損なうことなく，観察したい構造物のみを表現した画像を作成することで構造物の位置関係の把握が容易となる（図1）。

図1　トランスペアレンシーを用いた腹部術前シミュレーション画像

■肝臓解析

腹腔鏡下肝切除術は，肝悪性腫瘍に対する低侵襲手術として普及しているが，腹腔鏡下で行う手術は視野が狭く，また，症例ごとに異なる腫瘍の大きさや非担がん領域の範囲など，肝予備能を保つ範囲内で必要十分な切除を行うために，切除範囲や術式の決定には術前のシミュレーションは欠かせないものになっている^2），3）。REVORASの肝臓解析は，ダイナミックCTで撮影した動脈相，門脈相，平衡相の非剛体位置合わせを行い，各相から肝実質や門脈，動脈や肝静脈を自動抽出するため高い再現性で解剖構造を把握できるほか，簡便な操作で切除領域および残肝のボリュームを自動計測することができる。切除シミュレーションにおいても，部分切除をイメージしたくり抜きシミュレーション，切除対象となる門脈や肝静脈の支配領域に基づく切除シミュレーション，切離面を直感的な操作でデザインできるマニュアルカットによるシミュレーションなど，多彩なプランニングが可能である。肝実質の透過度や切離脈管の表示の切り替えも行えるため，切離面に現れる脈管などの構造物の把握も容易に行うことができる（図2）。

図2　肝臓解析による切離面シミュレーション

■腎切除解析

2016年の診療報酬改定により，腎がんに対するロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術（RAPN）が保険適用となり，症例数が増加している^1）。複雑で多様な症例にも対応が求められ，3D画像による術前シミュレーションや術中のナビゲーションは重要な役割を担っている。REVORASの腎切除解析は，そうしたRAPNにも有効に活用できるアプリケーションである。早期相および後期相の非剛体位置合わせ，腎臓や副腎，動静脈や尿管などを自動抽出し，術前に把握すべき解剖構造を表示し，切除マージンの設定・切除領域に基づいた阻血領域の同定など（図3），腎切除手術に特化した術前のシミュレーションが可能になっている。ロボット支援下手術においては，手術支援ロボットと接続することで，コンソール画面で作成した画像をリアルタイムに参照することができる。

図3　切除領域に基づいた阻血領域の同定が可能

本稿では，腹部領域の手術支援アプリケーションとしてのREVORASの有用性を述べた。早期発見，早期診断をはじめ，術前画像の作成，治療後の経過観察，転移検索など，総括的な画像診断が今後は必要になってくることが予想される。REVORASは，次世代ワークステーションとして手術支援画像や高度な3D画像作成，高度な画像解析をサポートする。今後も独自の技術によって患者や臨床現場に役立つ製品を開発することで医療に貢献していきたい。

一般的名称：汎用画像診断装置ワークステーション
販売名：ザイオステーション　レヴォラス　ＲＬ
認証番号：304ABBZX00001000

^{●参考文献
1）令和４年社会医療診療行為別統計の概況 : 厚生労働省, 2023.
2）原田耕平: REVORASを用いた肝切除シミュレーションと撮影テクニック. 映像情報Medical, 55（8）: 74-79, 2023.
3）Nakayama, K., Oshiro, Y., Miyamoto, R., et al. : The Effect of Three-Dimensional Preoperative Simulation on Liver Surgery. World J. Surg., 41 : 1840-1847, 2017.}