技術解説(ザイオソフト)

2025年4月号

Cardiac Imaging 2025

「Ziostation REVORAS」最新バージョンの循環器領域アプリケーション

楠本 正士[ザイオソフト(株)マーケティング部]

「Smart Imaging “みる”をシンプル,スマートに。」をコンセプトに開発したザイオソフトの新たなワークステーション「Ziostation REVORAS(以下,REVORAS)」は,2022年の発表以降,徐々に導入施設も増え,実臨床での活用が広がっている。「Ziostation2」は循環器領域において豊富なアプリケーションのラインアップを有していたが,REVORASにおいても,Ziostation2を引き継ぎながら新たなアプリケーション・機能を搭載し,よりいっそう充実したラインアップで臨床現場に提案している。本稿では,REVORASで新たにリリースした循環器領域の定量評価に役立つアプリケーションについて,その一部を紹介する。

■REVORASの循環器領域アプリケーション

REVORASの循環器領域のアプリケーションは,CT/MRIそれぞれにおいて形態評価から性状評価,機能評価まで,包括的な心臓画像解析を可能とする製品ラインアップを有している。REVORASの臓器などの自動抽出・自動除去・自動計測を行う機能は,AI技術(ディープラーニング)を開発に用いて設計されており,循環器領域のアプリケーションにおいても抽出や計測の自動化によって医師や診療放射線技師の業務効率化をサポートする。また,REVORASの各アプリケーションは,ワークステーションの操作に慣れていない医師や診療放射線技師でもわかりやすく迷わないユーザーインターフェイスを採用しており,解析時の直感的な操作を可能としている。

■MR心筋T1マッピング

T1マッピングは,浮腫,壊死,線維化などの心筋ダメージの評価が可能で,早期病変の検出や重症度・予後の評価,治療効果判定などに有用とされており,日本循環器学会の「2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン」や「2023年改訂版 心筋炎の診断・治療に関するガイドライン」では,推奨クラスⅠと強く推奨されている。心筋症の診断においては,造影前(native)と造影後(enhanced)のT1値を用いた細胞外容積分画(extracellular volume fraction:ECV)を組み合わせることで鑑別診断が可能となる。遅延造影で特定の難しい心アミロイドーシスや心筋炎などのびまん性の病変に対する診断への活用が期待されている。
REVORASの「MR心筋T1マッピング」では,データを開くと非剛体位置合わせやinversion time(TI)間の位置ズレ,造影前後の位置ズレの補正が自動で実行される。左室解析ステージでは,左室内腔と外壁の自動抽出を基にセグメントごとのT1値の評価を確認でき,native/enhanced/ECVのセグメントごとの解析結果がポーラーマップ上に表示され,同時に観察することができる。全体解析ステージでは,画像全体に対するT1値の算出や,関心領域の設定による任意の領域のT1値評価を簡便に行うことが可能である。解析ワークフローの改善によりデータオープンから解析結果表示までの時間短縮が図られ,新たなバージョンからはレイアウトも一新し,より効率的に解析業務をサポートする(図1)。

図1 MR心筋T1マッピング

図1 MR心筋T1マッピング

 

■MR心筋T2マッピング

T2マッピングは,心筋の炎症や浮腫の定量評価が可能であり,T1マッピングと同様に「2023年改訂版 心筋炎の診断・治療に関するガイドライン」において,クラスⅠで推奨されている。T2強調画像は定性的な評価となる一方,T2マッピングでは定量的な値の算出が可能であるため,客観的な評価が期待できる。
REVORASの「MR心筋T2マッピング」では,MR心筋T1マッピングと同様に,データを開くと同時に非剛体位置合わせやTE間のズレ補正が行われる。左室解析ステージでは,左室内腔と外壁の自動抽出を基にセグメントごとのT2値が評価できる。また,全体解析ステージでは,簡便に任意の領域のT2値計測による評価を行うことができる(図2)。

図2 MR心筋T2マッピング

図2 MR心筋T2マッピング

 

■MR心筋ストレイン解析

MRIによる心筋ストレイン評価は,心筋運動による壁厚の変化を定量的に評価する方法であり,日本循環器学会の「2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン」ではクラスⅡaとして推奨されている。REVORASの「MR心筋ストレイン解析」では,MRIのデータを開いた後,短軸像および長軸像(2ch,3ch,4ch)のすべての断面において,左室心筋内壁と外壁の輪郭線が自動で抽出される。手動で輪郭線の修正を行った場合も,各スライスやフェーズにおいて輪郭線が自動で補間されるため,効率的に解析作業を行うことができる。円周方向(circumferential strain),心筋の中心部方向(radial strain),左室長軸方向(longitudinal strain)の3方向での評価に加え,各セグメントのストレイン評価やポーラーマップでの解析結果の表示も可能である(図3)。

図3 MR心筋ストレイン解析

図3 MR心筋ストレイン解析

 

■CT心筋ストレイン解析(W.I.P.)

「CT心筋ストレイン解析」は,2024年に発表した「PhyZio/dynamics2.0」という弊社独自の動態解析技術を用いて開発を行っている。MR心筋ストレイン解析と同様に,4D-CTのデータを開くと,短軸像および長軸像(2ch,3ch,4ch)のすべての断面で左室心筋内壁と外壁の輪郭線を自動抽出してボクセルトラッキングを行い,心筋のストレイン解析を行う(図4)。
MRIは,循環器領域の診断において重要な検査である一方,検査時間の長さや撮像禁忌などの課題もある。CTは,国内においてMRIに比べアクセスが良く,撮影も短時間で行えるため,その実用性の高さからストレイン解析においてもCTの活用が期待される。

図4 CT心筋ストレイン解析(W.I.P.)

図4 CT心筋ストレイン解析(W.I.P.)

 

本稿では,REVORASの循環器領域の最新アプリケーション・機能について紹介した。ザイオソフトは,1998年の創業以来,独自の技術を発展させながら実臨床に貢献するソフトウエアの開発に取り組んできた。近年,モダリティの進化により,各種撮影からさまざまな情報が得られるようになったが,それに伴いワークステーションにはいっそうの高度な解析や画像処理が求められるようになっている。今後ともわれわれは,REVORASを診断・治療に貢献するワークステーションとしてさらに進化させていけるよう,臨床現場のニーズや課題に真摯に耳を傾けながら開発に努めていく。

*本記事中のAI技術については,開発設計時にAI技術(ディープラーニング)を使用しており,市場にて学習し変化することはありません。

一般的名称:汎用画像診断装置ワークステーション
販売名:ザイオステーション レヴォラス RL
認証番号:304ABBZX00001000

 

【問い合わせ先】
マーケティング部
TEL 03-5427-1921
https://www.zio.co.jp/revoras/

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