徳洲会グループとシーメンスヘルスケア,AI共同研究,検体検査の完全自動化,人材最適化を図る研修プログラムに関するパートナーシップを締結

2019-2-5

AI

シーメンスヘルスケア


徳洲会グループの本部機能を有する一般社団法人徳洲会(以下,徳洲会)とシーメンスヘルスケア(株)(以下,シーメンスヘルスケア)は,AIソリューションを用いた画像診断の共同研究,検体検査工程の完全自動化,人材最適化に向けた超音波研修プログラムに関するパートナーシップ契約を締結した。本パートナーシップにより,医療の質と量の向上を図り,医療サービスの変革を目指す。

本パートナーシップの締結は,世界の先端的な医療を取り入れ地域医療の充実を図る徳洲会グループの目指す姿と,シーメンスヘルスケアがグローバルで取り組む医療機関のバリュー向上を実現するという理念が一致したもの。パートナーシップはまず,医療法人沖縄徳洲会 湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市,許可病床648床)を主な拠点として展開する。徳洲会グループの旗艦病院であり,国際的な医療機能評価のJCI(Joint Commission International)認証を取得している湘南鎌倉総合病院では,次世代の新しい病院づくりに向けて,陽子線治療装置などを備えた先端医療研究センターの開設,外傷センターや救命救急センターの新築プロジェクトなど,さまざまな計画が進行中。今回のパートナーシップは,その取り組みの一環となるものである。

主なパートナーシップの内容は以下の通り。

  • 湘南鎌倉総合病院の近隣にある湘南ヘルスイノベーションパーク(神奈川県藤沢市,通称; 湘南アイパーク)内に共同で「AIコラボレーションセンター」を設立・運営し,AI ソフトウエアによる胸部画像からの診断支援など,AIに関する共同研究を行う。
  • 湘南鎌倉総合病院への先端的な臨床検査システム,及び搬送システムの導入による検体検査工程のさらなる自動化を推進する。
  • 「US(ユーエス)アカデミー」の開講:湘南鎌倉総合病院の臨床検査技師がより専門性の高い生理検査に対応できるよう,シーメンスヘルスケアが継続的に超音波画像診断機器のトレーニングを提供する(USはUltrasound=超音波の略)。

 

AIコラボレーションセンター設立の背景と目的
画像診断技術の発展に伴い,臨床における画像診断の役割が拡大する一方,大量の画像を読影する医師の負担は増加傾向をたどっている。また,臨床医ごとの専門化も進んでおり,横断的な視点で画像情報を把握し共有することが求められている。これらの課題を解決すべく,徳洲会とシーメンスヘルスケアはAIコラボレーションセンターを設立し,CT検査のうち約25%*1を占め,最も一般的な検査部位の一つである胸部CT画像の読影をサポートするAIソフトウエアの研究を行う。肺や心臓,大動脈,脊椎といった胸部の各臓器や部位全体の読影をAIがサポートし,読影医がどの画像をより注意深く読影すべきかをあらかじめ印を付けるなどして知らせる。これにより,読影の効率化・高精度化が可能になると同時に,予想外の病変の早期発見にもつながると期待される。将来的には離島やへき地医療サービスの向上にも貢献できると見込んでいる。

検体検査の完全自動化とUSアカデミー開講の背景
臨床検査室で業務を行う臨床検査技師の多くが,試験管の仕分けや搬送,廃棄などの作業工程に多くの時間を割いている。シーメンスヘルスケアによる調査*2では,検体搬送システムの導入により自動化対象となる業務が約33%削減できることがわかった。湘南鎌倉総合病院では,シーメンスヘルスケアの統合型免疫・生化学分析システム「Atellica Solution(アテリカ ソリューション)」および検体搬送処理システム「Aptio Automation(アプティオ オートメーション)」を導入し,ワークフローを改善する。さらに国内初となる外来採血テーブル・病棟エアシューターと検体搬送処理システムの接続により検査工程の完全自動化を推し進め,臨床検査技師が本来の専門的な業務に集中できる環境を整える。

また,さらなる人材の最適化を図り,臨床検査技師が超音波診断装置による生理検査に対応できるよう,シーメンスヘルスケアが超音波診断装置のトレーニングや最新情報を提供するUSアカデミーを開講する。超音波検査は,装置のスペースを取らずリアルタイムで画像が読影できること,患者にとっても痛みや副作用がないことなどから,医療現場で最も多く用いられている検査のひとつである。USアカデミーの開講により,需要が高く非侵襲な超音波検査体制を拡充し,これまで以上に患者さんに寄りそった医療サービスを目指す。将来的には,オンデマンドでの超音波検査の提供も視野に入れている。

昨今,医療現場においても「働き方改革」が急務とされているが,今回のパートナーシップによるAIを活用した画像診断の効率化,検体検査のワークフロー改善により,人材の価値最適化を図る取り組みは,世界的に見ても先進的なものと言える。将来的には,徳洲会グループの他の病院でも同様の取り組みを展開し,医療の安全性と質,患者体験価値が高い医療提供を目指していく。 

*1:シーメンスヘルスケア製のCT装置を使用した検査において,頭部,体幹部,胸部,その他のうち,主にどの部位に用いられるかを調査したもの(2018年,シーメンスヘルスケア調べ)  
*2:湘南鎌倉総合病院において受付・生化学検査・血液検査など,検体検査に関連するスタッフの1日の作業時間を集計し,検体搬送ラインの導入により自動化が可能となると算出できた作業時間の割合(2018年2月実施)。

 

●問い合わせ先
シーメンスヘルスケア(株)
TEL 0120-041-387
www.healthcare.siemens.co.jp

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