ITEM2025 インフォコム ブースレポート
検像システム「iRad-QA」へのAI画像処理機能搭載など,「Information SystemからIntelligence Systemへ」の進化をPR
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2025-5-7

インフォコムブース
インフォコムは,「Information SystemからIntelligence Systemへ」を展示テーマに掲げて,検像システムやRISなど,放射線部門の業務を支援するソリューションを紹介した。その中でも特筆すべきなのが,検像システム「iRad-QA」への人工知能(AI)を用いた画像処理機能の搭載と,RIS「iRad-RS」のSTAT画像所見報告機能であろう。2024年4月から勤務医の時間外労働時間の上限規制が設けられるなど,医師の働き方改革が進んでいる。放射線部門においても,医師の働き方改革のための業務改善が求められており,AIの活用による効率化などが今まで以上に必要になると予想される。また,2024年3月に「生命予後にかかわる緊急性の高い疾患の画像(STAT画像)所見報告ガイドライン」が策定されたことで,今後STAT画像所見報告による読影支援が広がっていくと思われ,診療放射線技師の業務負担軽減を図るために,デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が高まっている。このような環境変化を踏まえて,インフォコムもAI活用による業務の効率化や,STAT画像所見報告対応による診療放射線技師の負担軽減に取り組んでいる。今回,iRad-QAには,「肋骨減弱」と「CTR計測」というAI技術を用いて画像診断業務の効率化を図れる2機能を搭載したことがアナウンスされた。検像の段階で解析を行い,読影しやすい画像を提供する。また,iRad-RSには,STAT画像所見報告作成機能を追加できるようにした。施設のニーズに応じて,STAT画像所見報告のインターフェイスを設定できる。
このほかにも,レポートシステム「iRad-RW」とシーメンスヘルスケアの画像診断支援AIソフトウェア「AI-Rad Companion」とのシームレスな連携も紹介した。
●検像システム「iRad-QA」にAIを用いた「肋骨減弱」と「CTR計測」を標準機能として搭載
ブースでは,iRad-QAに新たに追加した肋骨減弱とCTR計測の2機能を紹介した。両機能いずれもAIが用いられており,標準機能として利用できる。
肋骨減弱は胸部単純X線画像で高吸収域となる肋骨を減弱処理して,骨と重なる結節などの病変候補の視認性を向上させる。装置メーカー,機種を問わず,胸部単純X線画像であれば,適用することが可能だ。これにより読影しやすい画像を提供でき,画像診断業務の効率化,医師の負担軽減を図れる。また,見落としのリスクも低減でき,高精度な診断にも寄与する。
CTR計測は,胸部単純X線画像から心胸郭比を自動で算出して,心拡大の判定のための情報を提供する。手動での測定,計算するよりも作業が効率化され,計測時間を短縮。医師や診療放射線技師の業務負担を軽減する。
ワークフローとしては,胸部X線撮影後,iRad-QAに画像データが送信されてから解析を行い,肋骨減弱やCTR計測画像を作成してPACSに保管することになる。病院をはじめ,胸部単純X線撮影を多く行う健診センターなどの検診施設でもメリットも多い機能である。

「iRad-QA」に標準搭載される「肋骨減弱」機能(画面下が減弱処理ずみの画像)はAI技術で骨と重なる結節などの視認性を向上

「CTR計測」はAI技術で心胸郭比を自動で算出
●RIS「iRad-RS」に実装可能なSTAT画像所見報告機能で診療放射線技師の業務負担軽減をアピール
iRad-RSについては,STAT画像所見報告機能を紹介した。医師の働き方改革のためにタスク・シフト/シェアが進められており,放射線部門においても,診療放射線技師の業務拡大が図られている。その中で,STAT画像所見報告が今後広がっていくと思われる。このような状況を踏まえて,インフォコムでは,iRad-RS上でSTAT画像所見報告を行う機能を設けた。診療放射線技師がiRad-RSからSTAT画像所見報告を行うと,レポートシステム「iRad-RW」に設けられたSTAT画像所見報告の欄に入力内容が反映されて,医師が確認できるようになる。iRad-RSとiRad-RWは共通のデータベースで運用されることから両システムがシームレスに連携する。これにより,診療放射線技師の業務負担を軽減しつつ,医師に報告すべき内容を確実に伝えることが可能となり,画像診断の質の向上も図れる。なお,STAT画像所見報告は,2024年3月に日本医学放射線学会などから「生命予後にかかわる緊急性の高い疾患の画像(STAT画像)所見報告ガイドライン」が公表され,このガイドラインに基づいて,医療機関により異なる運用がされる。そのため,インフォコムでは,個々の施設のニーズに応じたカスタマイズを行い最適化することとしている。

STAT画像所見報告機能が実装可能な「iRad-RS」
●レポートシステム「iRad-RW」とシーメンスヘルスケアの「AI-Rad Companion」の連携を紹介
レポートシステムのiRad-RWも今回の展示テーマのとおり,「Intelligence System」へと進化をしている。ブースでは,シーメンスヘルスケアの画像診断支援AIソフトウェア「AI-Rad Companion」との連携を紹介した。AI-Rad Companionのアプリケーション「AI-Rad Companion Chest CT」で得られた肺結節の寸法や直径,大動脈の直径,脊椎のサイズといった胸部CT解析結果を,DICOM SR形式のデータでiRad-RWのSRレポート欄に自動的に記載する。さらに,これらのデータをワンクリックで自然言語に変換してレポートに自動入力することも可能だ。iRad-RW上で解析結果を蓄積できるので,過去のデータと比較したり,経時的な変化を確認したりできるなど,有用な機能である。また,文字入力の手間や入力ミスも防ぐことから,医師の業務負担軽減,医療安全の面でもメリットとなる。
インフォコムでは,ほかにもiRad-RWと他社のAIソフトウェアとの連携を進めている。今回のITEMでは,エルピクセルのブースにおいて,iRad-RWと「EIRL」シリーズとの連携のデモンストレーションが行われた。今後もマルチベンダー対応を進めて,AIソフトウェアの有効活用につながるソリューションを提供していく。

「iRad-RW」とシーメンスヘルスケアの「AI-Rad Companion」がシームレスに連携し解析結果を自動入力

「AI-Rad Companion Chest CT」で解析した肺結節の寸法などをSRレポート欄に事例列に表示

解析結果をワンクリックでレポートに記載可能
●お問い合わせ先
社名:インフォコム株式会社
住所:東京都港区赤坂9-7-2 ミッドタウン・イースト10階
TEL:03-6866-3790
URL:https://service.infocom.co.jp/healthcare/irad/