ITEM2025 コニカミノルタジャパン ブースレポート
「imaging i」をテーマに革新的なAI技術・ソリューションや新発売の高精細な超音波診断装置などをアピール
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2025-4-30

コニカミノルタジャパンブース
コニカミノルタジャパンは,「imaging i+ 革新で臨床をデザインする」をテーマに展示を行った。テーマ中の「i」には,「innovation」「intelligence」「individual」の3つの意味がある。「innovation」を象徴するのは,同社が独自開発したX線動態撮影(Dynamic Digital Radiography:DDR)システムを構成するX線動態解析ワークステーション「KINOSIS」と動態回診車「AeroDR TX m01」である。DDRシステムはパルスX線を15fpsで連続照射し動画像のように表示するもので,KINOSISは各種アプリケーションにより,動きの可視化や呼吸機能や嚥下機能などの解析を行う画期的な技術である。「intelligence」では,コニカミノルタグループのAIブランド「FORXAI」の下で展開する診断・業務支援などのAIが紹介された。FORXAIは,コニカミノルタ独自の画像技術と最新のIoT技術を組み合わせたもので,医療・介護領域においても活用されるAI技術などのDXを加速させるキードライバー。Deep Learningを活用した人検知・姿勢推定が介護ソリューションに活用されているほか,医療分野では,KINOSIS搭載の気管径計測機能や胸部X線画像診断支援AI「CXR Finding-i」などが実用化されている。また,「individual」では,スマートフォンを使用して医療機関と患者をつなげる「infomityスマートクリニック」などが展示された。ブースでは,これらの製品・ソリューションを通じて同社の技術力がアピールされたほか,2024年11月に発売された超音波診断装置「SONIMAGE UX1」などの最新ラインアップが展示された。
●搭載機能が拡充するX線動態解析ワークステーション「KINOSIS」
KINOSISは,胸部骨減弱処理「BS-MODE」や周波数強調処理「FE-MODE」など視認性を向上させる機能のほか,肺組織や関節の動きを可視化,定量化する機能を搭載し,従来の形態評価のみではわからない情報を提供する。呼吸に伴う各領域の移動量を計測し,動きの傾向をカラー表示する「LM-MODE」は,最大吸気位フレームを基準とした呼吸に伴う各領域の移動量をベクトル表示することで,より客観的に動きを示し,肺の癒着の有無の確認などへの活用が期待できる。また,肺胞や肺血管など肺組織の挙動に伴う信号値変化をとらえる「PH2-MODE」は,肺血栓塞栓症などの血流欠損を造影剤を使用せずに簡便で低侵襲に診断可能なツールとして期待される。
KINOSISの機能は年々増加しており,AIを活用した技術は「気管径測定機能」(TD-MODE)がすでに搭載されている。TD-MODEでは,AIが肺野内の構造物の大きさの経時変化を可視化し,呼気周期時の気管径狭小化について変化率・変化量から観察できる。さらに,現在開発中の技術として「横隔膜同定技術」が紹介された。このうち横隔膜同定技術は,救急での動態回診撮影などでも病変やデバイスの影響を受けにくく,横隔膜を追跡・定量化する技術である。臥位撮影で心陰影が拡大した症例や肺野内の広範囲にわたる浸潤影により肺野と横隔膜間のコントラストが低下した症例などでも横隔膜を正確に同定し,横隔膜の変化を定量的に評価できる。

KINOSISの「LM-MODE」では,呼吸に伴う肺の動きをベクトル表示する。

現在開発中の「横隔膜同定技術」
●操作性に優れた動態回診車「AeroDR TX m01」
2022年3月に発売されたAeroDR TX m01は,カセッテ型デジタルX線撮影装置(ワイヤレスFPD)「AeroDR fine motion」と組み合わせ,従来の静止画に加えICUや病棟のベッドサイドなどでワイヤレスでのX線動態撮影が可能で,治療による換気状態の改善の確認や人工呼吸器の使用・不使用の判断などがより正確に行える。救急集中治療領域では,患者はさまざまなデバイスを装着され,検査のための移動は大変リスクが高い。そのため,AeroDR TX m01により患者を移動させることなく情報が得られることのメリットは大きい。また,散乱線補正処理「IntelligentGrid」により,グリッドの使用が困難なベッドサイドでのX線動態撮影においても高品質な画像を得られる。
装置本体は540mm(W)×1220mm(D)×1290mm(H)というコンパクトなサイズで,X線管操作部は4段階の伸縮式アームを採用。移動時はアームを短くして走行できる。また,走行ハンドルや管球部に電磁ロック式を採用したほか,ハンドグリップ上部のモーションコントロールスイッチでボディの各ホイールを独立して動かすことができ,細かいポジショニング動作を可能にするなど,高いユーザビリティを特長とする。大型19インチモニタに加えてX線管球部のセカンドモニタを配置し,撮影条件の確認や変更,X線管-被写体間距離の自動計測結果の表示が可能である。また,X線管とAeroDR fine motionのロール角を数値で表示し,アライメント調整をサポートする「アライメントサポート機能」により,再現性の高いポジショニングが可能である。本体にはAeroDR fine motionを3枚まで同時に収容・充電できる。

動態回診車「AeroDR TX m01」

セカンドモニタを配置したX線管球部は,電磁ロック式のため細かい調整が可能。
●診断・業務支援を行うAI技術を紹介
コニカミノルタグループのAIブランドであるFORXAIの下で展開する診断支援,業務支援などのAIが紹介された。そのうち胸部X線画像診断支援AIのCXR Finding-iは,胸部X線画像をAIで解析し,結節影や腫瘤影,浸潤影などの見落とし防止を支援するソフトウエア。感度向上に伴う偽陽性率の増加が課題の一つであったが,国内外で取得した数十万件以上の画像の学習(Deep Learning)により,感度を維持しつつ特異度を従来の69%から88%に大きく改善した。
ポジショニング判定支援AI「Positioning-i」は,AIがオーダーと画像の不整合を確認し,膝関節や足関節,肘関節側面などの撮影部位のポジショニングのズレや左右間違いを検知し,再撮影の要否の判断を支援する。また,新たに胸部の正面/側面の対応が追加され,撮影方向間違いの検知も可能になった。これらのAI技術により,再撮影の早期判断や画像の誤送信防止につなげるなど,検査業務の効率化を支援する。

胸部X線画像診断支援AI「CXR Finding-i」

ポジショニング判定支援AI「Positioning-i」ではズレの範囲をわかりやすく表示可能
●最新の超音波診断装置「SONIMAGE UX1」の高精細画像や多彩な機能をアピール
2024年11月に発売された超音波診断装置「SONIMAGE UX1」とその整形外科専用モデル「SONIMAGE UX1 TRiFOR」が展示された。SONIMAGE UX1は,SONIMAGEシリーズにおけるHS1,MX1,HS2に次ぐ製品で,デザインを大幅に刷新し,フラッグシップモデルとして加わった。スライス厚方向のビーム均一性向上を目的とした非球面形状の音響レンズ「Dual Slice Lens」を搭載したリニアプローブ「X20L」との組み合わせにより,高精細画像の形成に必要な原信号の取得が可能になった。また,コニカミノルタは深部/浅部の描出に有効に作用する送信波形を送信開口の辺縁部/中心部でそれぞれ2分割する独自技術「Dual Sonic」を開発しているが,多分割送信技術「Dual Sonic Advance」に進化し,均一性が高く,高精細な画像描出を実現した。モニタは視認性が高く,コントラストが豊かで明るい部屋でも映り込みが少ない。また,通常のカートスタイルのほかに,モニタとメインボックスが分離したデスクトップスタイルも可能である。
SONIMAGE UX1には多くの有用な機能が搭載されており,神経を強調表示する「VisNerve」機能は超音波画像を解析し,リアルタイムに神経を可視化する。AI技術の一つであるdeep learningを用いて設計された。対象部位は上肢の正中・尺骨・橈骨神経などで,カラーモードも併用し,簡便かつ容易に神経を認識できる。経験が浅い術者でも迅速かつ安全に針刺し穿刺が行える。
モニタ画面の映像をミラーリングし,リアルタイムに診療画像を共有する「Mobile Cast」やモバイル端末などから遠隔操作可能な「Mobile Control」を搭載した。Mobile Castは,装置に表示される画像や音声をワイヤレス接続したタブレット端末などに送信/表示できる機能で,タブレットの配置を調整することで快適で自然な姿勢で検査が行える。Mobile Controlは,装置を触ることなく設定変更や画像保存,アプリケーション起動/終了などを遠隔操作でき,医師の診察を妨げることなく補助者による代替操作が可能である。また,カメラで撮影した映像を診断中の超音波画像と重ねて表示する「Camera Link」も紹介された。表示画像は静止画と動画で記録でき,検査部位や穿刺部位,プローブの位置や角度の特定に有用である。

2024年11月に発売された超音波診断装置「SONIMAGE UX1」

新たに追加されたリニアプローブ「X20L」

モバイル端末とリアルタイムに診療画像を共有する「Mobile Cast」

「Camera Link」機能でプローブの角度などを示すカメラ映像と超音波画像を同時に表示・記録できる。

モニタとメインボックスが分離したデスクトップスタイル
●微小石灰化や腫瘤陰影の候補を自動検出するマンモグラフィ診断支援ソフトウエア「MGCAD-i」を紹介
そのほかにマンモグラフィ診断支援ソフトウエア「MGCAD-i」が紹介された。MGCAD-iは,独自のアルゴリズムで微小石灰化や腫瘤陰影の候補を自動的に検出する。微小石灰化や腫瘤陰影の候補として検出したエリアを破線や実線で囲む「サラウンドマーキング方式」で表示し,石灰化の観察ストレスを大幅に軽減。読影の効率化をサポートし,読影時間の短縮に寄与する。マンモグラフィ医用画像管理システム「FINO.VITA.GX typeMG」はマンモグラフィ画像診断に適したワークフローにより,快適な読影環境を提供する。また,乳房構成を自動的に判定する乳房構成解析ソフトウエア「Breast Density Assessment(Bda)」も紹介された。

マンモグラフィ診断支援ソフトウエア「MGCAD-i」。検出したエリアを破線や実線で囲んで表示する。

「Breast Density Assessment(Bda)」で乳房構成を4分類で表示する。
●LINEを利用したコミュニケーションツール「infomityスマートクリニック」
スマートフォンを使用して医療機関と患者をつなげる「infomityスマートクリニック」が紹介された。従来,診療時間や休診案内などの情報は患者が医療機関のWebサイトを見るプル型システムが主流だった。infomityスマートクリニックでは,利用率が高く高齢者でも使いやすいLINEの公式アカウントを利用し,臨時休診などの情報を医療機関から発信することで,簡単に素早く確認できる。テンプレートを活用し,ワクチン接種や特定健診の案内なども容易に配信できるほか,特に問い合わせの多い質問などを配信することで電話対応などの院内業務を軽減する。また,セキュアな環境で医療情報の送信が可能で,患者は健康管理アプリ内で検査画像や血液結果などのデータを迅速に受け取り,確認できる。さらに,2024年度診療報酬改定で糖尿病,脂質異常症,高血圧などの生活習慣病が生活習慣病管理料が再編されたのに伴い,体重や血圧などの目標値を設定した療養計画書の作成や日常の健康管理が必要になった。infomityスマートクリニックでは,患者が血圧などを入力した健康記録を医療機関でモニタリング可能であり,データを共有しつつ治療を進めることができる。また,患者側の治療継続に対するモチベーションアップも図れる。infomityスマートクリニックを通じて日頃から医療機関と患者がつながりを持つことで,経営的メリットに加え,患者ケアの新たなアプローチが期待される。

「infomityスマートクリニック」のイメージ

医療施設からのメッセージ画面。検査結果などもアプリ内で確認できる。
●お問い合わせ先
社名:コニカミノルタジャパン株式会社
住所:〒105-0023 東京都港区芝浦1-1-1 浜松町ビルディング
TEL:03-6324-1080
URL:https://www.konicaminolta.jp/healthcare/index.html