ITEM2025 ザイオソフト/アミン ブースレポート 
進化を続けるZiostation REVORASの新機能やPhyZio/dynamics2.0による4Dイメージングの可能性をアピール


2025-5-2

ザイオソフト


ザイオソフト/アミンブース

ザイオソフト/アミンブース

ザイオソフトは,2022年に発表された医用画像処理ワークステーション「Ziostation REVORAS」の最新バージョンの内容や今後搭載予定の新機能の紹介を中心に,昨年のITEM2024で発表した次世代の4Dイメージング技術「PhyZio/dynamics2.0」の新機能についてもアピールした。
Ziostation REVORASは,「Smart Imaging “みる” をシンプル,スマートに」をコンセプトに高機能・高性能を直感的に扱えるシンプルな操作性でユーザー数を伸ばしている。今回の展示では自動抽出の機能が大幅に改善し,日常の画像解析業務の中で作業手順の短縮や負担の軽減にさらに貢献できることをアピールした。標準機能の3D解析に追加された“MR骨抽出・MR骨分離”“脳動静脈分離”,アプリケーションとして「TAVR(大動脈弁解析)」「EPプランニング」の新機能を中心に展示した。また,PhyZio/dynamics2.0では,新たに追加されたアプリケーションである「2Dモーション解析」「CT心筋ストレイン解析」(いずれもW.I.P.)を紹介した。

●「Ziostation REVORAS」の新アプリケーションや追加された機能を紹介

〈3D解析:MR骨抽出・MR骨分離〉
MR骨抽出・MR骨分離は,Ziostation REVORASの標準機能である3D解析の新機能として追加されたものだ。MR骨抽出では,CT like Imageで撮像されたデータから骨だけをワンクリックで自動抽出できる。従来,骨と腱のような画像を作成する場合には,CTで骨を抽出してMRのデータとフュージョンするなど手間と時間がかかる上,位置合わせのズレが生じるなどの課題があった。MR骨抽出機能を使用するとワンクリックで骨の抽出が可能で,骨と腱を同一のMR画像から作成することができるため作業効率の大幅な向上が期待される。また,MR骨分離では,MR画像で3D作成時に骨の分離が可能で,CT画像と同様に必要な部位を抽出点,消したい部位を除外点として指定するだけで必要な骨だけを分離できる。

MR骨抽出ではCT like Imageからワンクリックで骨の自動抽出が可能

MR骨抽出ではCT like Imageからワンクリックで骨の自動抽出が可能

 

MR骨分離ではMR画像から3D作成時に骨の分離が可能

MR骨分離ではMR画像から3D作成時に骨の分離が可能

 

〈3D解析:脳動静脈分離〉
同じく3D解析の標準機能である脳動静脈分離は,頭部CTAデータから血管の抽出,動静脈の分離を自動で行うが,最新バージョンでは血管の抽出や分離の精度がさらに向上し,内頸動脈と海綿静脈洞といった複雑な構造の分離も可能になった。これによって3D作成作業の負担を軽減し効率的な3D画像処理を可能にする。さらに,領域ごとにボリュームを細分化して血管の抽出が可能になり,画像の修正や出力などでのワークフローを改善できる。

血管を認識して脳動静脈を自動で分離し効率的な3D画像処理をサポート

血管を認識して脳動静脈を自動で分離し効率的な3D画像処理をサポート

 

領域ごとにボリュームを細分化して血管の抽出が可能

領域ごとにボリュームを細分化して血管の抽出が可能

 

〈TAVR(大動脈弁解析)〉
REVORAS搭載のアプリケーションでは,「TAVR(大動脈弁解析)」の各種自動計測が強化された。大動脈弁解析では,経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)に必要な各種の情報をCTデータから自動で計測し,術前のプランニングにかかる時間や手間を大きく短縮できる。解析では,自動認識技術を生かし弁輪面の自動抽出と計測が可能だったが,最新バージョンでは自動抽出と認識技術の向上によって冠動脈の高さ,LVOT,STJ,バルサルバ洞などの自動計測も可能になった。これらの計測項目については,施設で実施している計測内容や計測順に合わせてカスタマイズできる。また,各計測結果から自動で作成されるレポートもバージョンアップされ,より見やすくわかりやすい情報共有が可能になった。

弁輪や冠動脈の高さなどを自動で計測してTAVR術前に必要な情報を提供

弁輪や冠動脈の高さなどを自動で計測してTAVR術前に必要な情報を提供

 

〈EPプランニング〉
REVORASの「EPプランニング」は,不整脈治療で行われるカテーテルアブレーションをサポートするアプリケーションだ。EPプランニングでは心臓を含む造影CTデータから左房と肺静脈を抽出し,3D画像やVE(仮想内視鏡)表示で術前のシミュレーションをサポートする。造影データから冠静脈洞や冠動脈を抽出し,各種の構造物の位置関係が総合的に把握できる。また,肺静脈の断面積や血管径の計測機能も提供し,SA,CPR,ストレートビューを同時に表示して観察することが可能だ。最新バージョンでは食道などの自動抽出も可能になっており,より安全な手技をサポートする。

アブレーションの術前診断・シミュレーションに必要な構造物を抽出して手技を支援

アブレーションの術前診断・シミュレーションに必要な構造物を抽出して手技を支援

 

〈マクロ機能〉
操作性の面ではマクロ機能が充実した。従来同様の方法で複数の作業手順をまとめたマクロを,お気に入り機能の中に作成したマクロも保存できるようになったことを紹介した。

マクロとお気に入り機能の活用でわかりやすい画像作成が可能に

マクロとお気に入り機能の活用でわかりやすい画像作成が可能に

 

●新たな計算アルゴリズムで処理の高速化と再現性を向上した「PhyZio/dynamics2.0」

PhyZio/dynamics2.0は,ザイオソフトの独自の画像技術によって連続した位相画像に対して処理を行い,画像補間,ノイズ低減,ダイナミック計測,4Dモーション解析などを可能にする技術で,2013年に発売された「PhyZiodynamics」からアップデートされ,昨年のITEM2024で初お披露目された。PhyZio/dynamics2.0では,計算アルゴリズムを一新して処理の高速化と再現性の高い動態解析の実現が図られており,画像処理時間が大幅に短縮されたことで,日常のルーチン検査での動態解析が可能になっている。従来のマルチフェーズ,ダイナミック計測,モーション解析,MRストレイン解析に加えて,新たに追加予定の「2Dモーション解析」「CT心筋ストレイン解析」(いずれもW.I.P.)の2つのアプリケーションを紹介した。

〈2Dモーション解析(W.I.P.)〉
2Dモーション解析は,PhyZio/dynamics2.0によって任意の断面での動態解析を可能にするが,断面を限定することで処理時間を大幅に短縮した。任意断面へのPhyZio/dynamics2.0によるモーショントラッキング,経時的に変型する構造物を追従して計測するDynamic計測,生成した機能画像オーバーレイ表示することなどが可能になる。モダリティから得られたデータから最大10倍の補間画像の生成が可能で,データ補間時にノイズ除去を行うことができ,画像補間の倍数を任意に設定することが可能だ。

PhyZio/dynamics2.0による2Dモーション解析(W.I.P.)

PhyZio/dynamics2.0による2Dモーション解析(W.I.P.)

 

〈CT心筋ストレイン解析(W.I.P.)〉
CT心筋ストレイン解析は,PhyZio/dynamics2.0のモーショントラッキング技術によってCTデータからの心筋動態評価を実現する。CTストレイン解析は,PhyZio/dynamics2.0による再現性の高いトラッキングが可能で,SA(短軸像),長軸,4チャンバー,3チャンバーの断面から内膜側・外膜側の左室心筋輪郭線を自動抽出し心筋のストレイン解析を行う。解析結果としては,各セグメントごとにradial strain,longitudinal strain,circumferential strain,polar map,strainグラフを表示することができる。PhyZio/dynamics2.0の技術によって自動抽出や認識,データ解析の精度が向上し,ボタンをクリックするだけで解析が簡便に可能になった。

心筋の動態評価を可能にするCT心筋ストレイン解析(W.I.P.)

心筋の動態評価を可能にするCT心筋ストレイン解析(W.I.P.)

 

●最新の心臓画像診断をテーマにしたランチョンセミナーを開催

JRC最終日の2025年4月13日(日)には,学会共催ランチョンセミナー27「心臓画像を多角的に考える~形態 × 性状 × 機能による情報の深価 Multifaceted Approach to Cardiac Imaging Deepening of comprehensive cardiac examination」が行われた。座長は慶應義塾大学医学部放射線科学の陣崎雅弘氏が務めた。最初に,高木英誠氏(東北大学病院放射線診断科)が「心臓CTを用いた心筋ストレインと冠動脈炎症の評価 − 狭窄を超えた新たな視点」を講演。高木氏は,冠動脈CTにおける新しい炎症評価の指標であるFAI(fat attenuation index)や大動脈弁狭窄症治療におけるCTストレインの可能性について概説した。
続いて,真鍋徳子氏(自治医科大学総合医学第一講座 放射線科,自治医科大学附属さいたま医療センター)が「心臓に腫瘍をみつけたらどうする? 腫瘍とMimickerの鑑別」と題して講演した。真鍋氏は,心臓腫瘍の画像診断について多くの自験例を提示しながら読影のポイントやMimickerを含めて概説した。
(講演内容はZioVisionのセミナーレポートとして,インナービジョン誌2025年8月号およびインナビネットのザイオソフトスペシャルに掲載予定)

裸眼で3D画像の立体視が可能な空間再現ディスプレイ(ソニー製)によるデモも展示

裸眼で3D画像の立体視が可能な空間再現ディスプレイ(ソニー製)によるデモも展示

 

●お問い合わせ先
社名:ザイオソフト株式会社/アミン株式会社
TEL:03‐5427-1921
URL:https://www.zio.co.jp/

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