富士通とNVIDIA,AI領域における戦略的協業の拡大を発表
両社の最先端技術とAIエージェントを統合したフルスタックAIインフラストラクチャ構築をめざす
2025-10-8

新たな戦略的協業への意気込みがアピールされた
富士通(株)とNVIDIAは,AIエージェントを統合したフルスタックAIインフラストラクチャの構築をめざし,戦略的協業を拡大することを発表した。富士通のCPUとNVIDIAのGPUを搭載したAIコンピューティング基盤を開発し,領域特化型のAIエージェントを組み合わせたフルスタックAIインフラストラクチャを2030年までに構築し,産業変革の加速を図る。2025年10月3日(金)にはパレスホテル東京(東京都千代田区)で記者説明会が開催され,富士通の代表取締役社長CEOの時田隆仁氏とともにNVIDIAのCEOであるジェンスン・フアン氏が登壇し,新たな協業をアピールした。
記者説明会で登壇した時田氏は,今回の協業の背景として,社会課題の解決におけるAIの可能性やAIの本格的な実装に向けたAIインフラ整備の必要性を挙げた。また,NVIDIAとはこれまでもプラットフォームの領域で協業し,2025年8月には両社と理化学研究所が次世代フラッグシップスーパーコンピュータ「富岳NEXT」の共同開発に着手することを発表しているが,時田氏は新たな協業について,「両社はデジタルテクノロジーの力により社会課題を解決するという共通のビジョンを持ち,地球上のあらゆるデータを用いたAI駆動社会の実現に向けた一歩を踏み出すものだ」と評価した。さらに,富士通は2026年に1000ビット超の量子コンピュータ開発をめざしており,将来的に量子コンピューティング領域でも両社の先端技術を融合し,飛躍させていきたいとした。

時田隆仁 氏(富士通 代表取締役社長CEO)
続いて,富士通執行役員副社長CTOのヴィヴェック・マハジャン氏が登壇し,今後構築をめざすフルスタックAIインフラストラクチャの概要について紹介した。マハジャン氏は,今回の協業の3つの柱として,(1)自律進化するAIエージェントプラットフォームの共同開発,(2)次世代コンピューティング基盤の共同開発・拡販,(3)カスタマーエンゲージメントの推進を挙げた。具体的には,富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」にNVIDIAの技術を組み合わせ,高速性と高いセキュリティを両立するAIプラットフォームを実現すると同時に,富士通のCPUとNVIDIAのGPU技術の融合ならびにエコシステム構築により,AIプラットフォームを支える高速・高度なコンピューティング基盤を開発する。また,各産業に特化したAI知見を産業横断で活用可能にすることを目標としてパートナープログラム提供に取り組み,ロボティクス分野から具体的なユースケース開発を開始する。マハジャン氏は,その一例として(株)安川電機のAIロボティクス技術を融合したフィジカルAIの社会実装に向け,協業の検討を開始したことを発表した。また,量子分野での協業も視野に,両社の協業により数十兆円の市場への展開をめざすとした。

ヴィヴェック・マハジャン 氏
(富士通 執行役員副社長CTO)
最後に登壇したNVIDIAのジェンスン・フアン氏は,日本におけるコンピューティング分野の先駆者である富士通の技術力を評価し,両社のエコシステムを連携し,強固なパートナーシップの構築に向けた意気込みをアピールした。

ジェンスン・フアン 氏(NVIDIA 創業者/CEO
●問い合わせ先
富士通(株)
https://global.fujitsu/ja-jp