日立,キッズスターの高齢者向け認知症・介護予防サービス「脳エクササイズ」の開発に協力
〜脳科学をモノづくりに活用〜

2017-3-13

富士フイルムメディカル(旧 富士フイルムヘルスケア)


(株)日立ハイテクノロジーズ(以下,日立ハイテク),(株)日立製作所(以下,日立)は,脳科学をモノづくりに活用する取り組みの一環として,(株)キッズスター(以下,キッズスター)が提供する高齢者向け認知症・介護予防サービス「脳エクササイズ」の開発に協力した。

近年,日本では高齢化が進む中,心身ともに健やかな日常生活を送る「健康寿命」の維持・伸長が注目され,身体のみならず脳を鍛えたいというニーズが高まっている。そこで,これまでも脳科学の知見をさまざまなモノづくりに活用する取り組みを進めてきた日立ハイテクと日立の両社は,今回新たに検証した研究の知見を活用し,キッズスターの「脳エクササイズ」の開発を支援した。

検証では,脳機能計測と認知科学的手法を用いて,高齢者(60〜72歳の男性18名)を対象に,画面上に表示される問題に対し全身を使ってプレイする「脳エクササイズ」と,ゲームパッドを用いて指先だけでプレイする「PCゲーム」を体験してもらい,体験前後に認知課題(ストループ課題*1,GO/NOGO課題*2)を実施した。分析の結果,前頭部中央右側領域において,「PCゲーム」ではプレイ前よりプレイ後の方がストループ課題中の脳血流反応の増加が小さくなったが,「脳エクササイズ」のプレイ前後では,脳血流反応の増加に変化は見られなかった。このプレイ前後の脳血流反応の変化は,「脳エクササイズ」と「PCゲーム」の間で統計的有意差があることがわかった。

また「脳エクササイズ」を行うことにより,認知課題の回答時間が短くなることもわかった。この結果は,短時間の運動により脳の代償機能(加齢による脳機能低下を防ぐと言われる)が関与し,認知機能が向上することを明らかにした先行研究*3と同様の傾向を示しており,「脳エクササイズ」により高齢者の認知機能が向上することが期待される。

本知見を活用した「脳エクササイズ」は,「脳を鍛えるトレーニング」+「体操」をコンセプトに開発された,認知症・介護予防と利用者同士のコミュニケーション活性化を図るサービス。入力デバイス「Kinect™ for Windows®」を活用しており,テレビの前で身体を動かしながら脳トレーニングを行うことができる。介護施設やフィットネスクラブなどでの利用が想定されており,2017年3月15日から17日まで東京ビッグサイトで開催される「第3回CareTEX 2017」にて公開される。

*1 ストループ課題: 文字の色と意味の一致・不一致を判断する課題。
*2 GO/NOGO課題: ボタンを押すなどの行動を抑制させる課題。
*3 K. Hyodo,I. Dan, K. Suwabe, Y. Kyutoku, Y. Yamada, M. Akahori, K. Byun, M. Kato and H. Soya, " Acute moderate exercise enhances compensatory brain activation in older adults", Neurobiology of Aging, Volume 33 | pp2621-2632, November 2012

 

●問い合わせ先
(株)日立ハイテクノロジーズ
イノベーション推進本部 ブレインサイエンスビジネスユニット
担当:一関,敦森
TEL 03-3504-3801
http://www.hitachi-hightech.com/

(株)日立製作所
研究開発グループ 研究管理部
担当:安井
TEL 042-323-1111(代表)

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