富士フイルム,携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair」とX線画像診断装置「CALNEO Dual」などが2018年度グッドデザイン賞を受賞

2018-10-3

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携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair」

携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair」

富士フイルム(株)は,公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2018年度グッドデザイン賞において,主要29製品が受賞したことを発表した。さらに,在宅医療などにおいて簡便なX線検査を実現する携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair(カルネオ エックスエアー)」と,一度のX線照射で,高精細な一般X線画像に加え,骨密度測定用の骨強調画像を同時に取得できるX線画像診断装置「FUJIFILM DR CALNEO Dual(カルネオ デュアル)」の2製品が,「グッドデザイン・ベスト100」に選ばれた。

●グッドデザイン賞 受賞製品(メディカル製品)

■携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair」【グッドデザイン・ベスト100】
富士フイルム初となる,手軽に持ち運ぶことができる携帯型X線撮影装置。小型・軽量なX線管球とバッテリーを採用し,可搬性/操作性に優れた総重量3.5kgを実現。在宅医療での撮影など,スペースが限られた場所での簡便なX線撮影と画像確認をサポートする。同社独自のISS方式とノイズ低減回路を搭載したX線画像診断装置「FUJIFILM CALNEO Smart」のような高感度検出に対応したカセッテDRを利用することで,低線量でも高画質な画像を得ることができる。
これにより,在宅医療などにおいてX線撮影を行う医師や技師の移動や撮影準備などの身体的負荷低減と,患者の被ばく量低減に貢献する。

【審査員の評価コメント】
世の中にある在宅医療のフローそのものを刷新し,大きな変革の可能性を秘めた超小型X線撮影装置である。小さく軽く取り回しが効き,外観も操作性も優れている。この製品が特に素晴らしいのは,表層的なアプローチではなく,在宅医療の実態とそこにある問題を解決するために,自社の技術が今までにないかたちで有機的に繋がり,一つのプロダクトへと美しく集約された点にある。過去の資産を生かしながら本質的価値を問い直し,革新的な開発に挑戦する姿勢は,多くの企業や社会に勇気を与えるであろう。医療現場のみならずさまざまなフィールドで活躍することを予感させ,このデザインの持つ可能性を感じた。

■X線画像診断装置「FUJIFILM DR CALNEO Dual」【グッドデザイン・ベスト100】
一度のX線照射で,高精細な一般X線画像に加え,骨密度測定用の骨強調画像を同時に取得できるデジタルX線画像診断装置。現在の骨粗しょう症診断では,一般X線画像の撮影と骨密度測定は,それぞれ別の装置で行われており,被検者は装置間を移動しなければならず,また骨密度測定の際に撮影の位置を決め直して,その体勢を数十秒間維持する必要がある。本製品は,X線エネルギーの吸収感度が異なる2種類のX線検出部を積層した「デュアル構造」を採用することで,一般X線画像と骨強調画像の同時取得を可能にした。また,従来のカセッテDRと同等のサイズを実現しているため,既存の撮影台で使用可能。高齢化に伴って,さらなる増加が見込まれる骨粗しょう症診断における,撮影のワークフロー改善に貢献する。

【審査員の評価コメント】
従来の骨粗しょう症診断は,一般X線診断と骨密度測定という別々の検査を受けなければならないため,装置,検査室,手間も二倍必要であり,患者にとっても二回の被ばくは負担だった。このカセッテの大きな特徴は,既存のカセッテ規格に準拠しながら,一般撮影と骨密度撮影を一度に行える事である。医療現場において,ワークフロー改善,被検者と技師の被ばく量や身体的負荷の低減,さらにコスト,スペースが激減するメリットが生まれた。今まで当たり前と思っていた事が,自社技術の発見を起点に,連鎖的な社会貢献性を生むデザインとなった好例といえる。

X線画像診断装置「FUJIFILM DR CALNEO Dual」

 

■一包化監査支援システム「PROOFIT 1D(プルーフィットワンドース)」
服用するタイミングごとにまとめて一包化された薬剤の名称と数量を自動的に判定し,調剤薬局などでの薬剤師の監査業務をサポートする一包化監査支援システム。独自の画像認識技術で,一包ごとに錠剤の刻印や文字,カプセル剤の色や形などを高精度に読み取ることができる。また新たに開発した,錠剤の刻印や文字の抽出技術により,錠剤の表裏や刻印の向きをそろえた一覧表示が可能。刻印を強調表示できる機能も搭載しているため,薬剤師が作業しやすい画面表示を提供する。一包化された薬剤の投入・取出,画面確認,消耗品の交換などを装置前面で行うことができ,優れた操作性を実現している。

【審査員の評価コメント】
マシンが複数種の薬剤を大量に分包したものを,人が目視で確認するという一連の作業を効率的かつ正確に行うことを目的として開発された作業支援システムである。特筆すべき点は,人が目視で情報処理をするリスク「不揃いな情報環境下での正確な判断」を高い次元で解決していることにある。分包の袋の錠剤は,表裏上下がランダムに回転していて,袋中で不揃いに点在した状態にある。複数種の錠剤を画像化し,天地方向を揃えて一覧表に並び替え,高速で均一な処理に情報を加工する技術は目を見張るものがあり,自社の画像処理技術が高い次元で活用されたことを評価した。

一包化監査支援システム「PROOFIT 1D(プルーフィットワンドース)」

 

■感染症検査装置「富士ドライケム IMMUNO AG2」
感染症を引き起こすウイルスや細菌の高感度検出に加えて,検査の効率化をサポートするさまざまな機能を搭載した感染症検査装置。写真フィルムの銀増幅技術を応用した高感度検出技術により,発症初期などウイルスや細菌の量が少ない状態でも検出でき,早期発見による患者負荷軽減と感染拡大防止に貢献する。検体を滴下した試薬カートリッジを本装置にセットするだけの簡単操作で陽性/陰性を自動判定し,目視による判定ミスを防止する。内蔵のバーコードリーダーで読み取った,検体の容器にラベリングされたIDや操作者のIDカードを,判定結果と合わせて電子カルテなどの院内システムに送信可能。検査の効率化を実現した。検査数が多く複数台設置する大病院や,設置スペースが限られるクリニックでの使用を考慮し,設置面積を従来機の半分に削減したタテ型デザインを採用。離れた場所からでも検査の進行状況や判定結果を視認できるカラー液晶タッチパネルを設けたシンプルなデザインとした。

【審査員の評価コメント】
従来機が抱えていた設置効率やユーザビリティといった課題を正しく把握し,内部機構とUIを刷新することでクリニックだけでなく大病院のニーズにもこたえており,その結果として生まれたデザインは必然性と美しさが宿っている。写真現像の銀増幅技術を応用した検査システムだが,これまで民生向け製品・サービスで培った技術と強みを医療分野に転用し,次代に向けた新たなイノベーションを生み出している同社の開発姿勢と取り組みに高い評価が集まった。

感染症検査装置「富士ドライケム IMMUNO AG2」

 

■乾式臨床化学分析装置「富士ドライケム NX700/富士ドライケム NX700i」
血液や尿を分析する臨床化学分析装置。写真フィルム製造で培われた,薄膜を多層同時に塗布する技術やカラー写真の評価技術を応用し,乾燥状態の試薬に液体状の検体を添加する,迅速・簡便なドライケミストリー方式。検体と試薬のスライドをセットし,スタートキーを押すだけの簡単操作で測定が可能。本機は5検体の同時処理と,測定方法が異なる多項目の高速処理が可能なフラッグシップ機「富士ドライケムFDC7000」の後継機であり,従来機より小型化した箱型形状に,視認性,操作性を大幅に向上させた大型タッチパネルを備える。また検査データ処理支援システムとの接続により,電子カルテや検査センターとの連携も可能である。

【審査員の評価コメント】
棚の中にも設置できるよう工夫された蓋の構造が秀逸である。製品の性質上,設計的な要求仕様も多岐にわたったと思われるが,統一されたアイデンティティによるシンプルなデザインは清潔感があり,同時にフラッグシップモデルとしての信頼感を感じさせるデザインとなっている。

乾式臨床化学分析装置「富士ドライケム NX700/富士ドライケム NX700i」

 

■十二指腸用処置スコープ「ED-580T」
胆管,胆のう,膵管に発生する疾患を検査・治療する十二指腸鏡。スコープ先端の軟性部に弾発性が高い素材を採用した「高追従挿入部」を搭載することで,医師がスコープの向きを変えるために操作部をねじる際,手元の力を先端まで効率良く伝える。本製品は,処置具の角度を調整する起立台の形状・長さ・可動範囲と,スコープ内で処置具などが通る「鉗子チューブ」の素材を見直すことで,処置具のスムーズな出し入れや交換を実現している。また,起立台を最大起立位置にすると,処置具の挿入を補助するガイドワイヤーが押さえられ,簡単に処置具を交換することができるため,治療時間の短縮が期待できる。

【審査員の評価コメント】
内視鏡診療の中でも胆膵疾患の検査・治療は,スコープを,十二指腸を経由させて行われるため,医師に求められる手技の難易度が高いという。本提案はスコープ各部の素材の見直しと複合的な操作を可能とする操作部のレイアウトによって,医師の繊細な手技を先端までダイレクトに伝え,かつ効率的な処置を行うための適切な工夫がなされている。その必然性によって構築されたデザインには,プロの現場が求める精緻感と信頼性が宿っているといえよう。また先端キャップを着脱式とすることで洗浄性に配慮するなど,細部にわたり治療時間の短縮と効率化を目指すことで,医療の現場および患者の負担を軽減する提案であると評価した。

十二指腸用処置スコープ「ED-580T」

 

■LED光源搭載内視鏡システム「EP-6000,EG-6400N」
光源に複数の異なる波長のLEDを使用することで,白色光と短波長狭帯域光を生成できる内視鏡システム。照射した光と画像処理を組み合わせることで,粘膜表層の微細な血管や構造などを強調して表示する機能「BLI」や,画像の赤色領域のわずかな色の違いを強調して表示する機能「LCI」によって,病変の観察をサポートする。患者に威圧感を与えない柔らかな造形の清潔感ある筐体で,情報と操作ボタンを集約させた黒い表示部による特徴的なデザインのLED光源一体型プロセッサー(EP-6000)と,ワンステップでプロセッサーに接続できる専用スコープ(EG-6400Nなど4種)で構成される。

【審査員の評価コメント】
中小の病院とクリニックをターゲットとした電子内視鏡システムである。LED光源を採用し,本体を一体型とすることでコンパクト化と低価格化を実現しながらも,レーザー光源を持つ上位機種のデザイン言語を踏襲することで,シリーズとしての世界観の構築に成功している。明確にゾーニングされたインターフェース,優しさと精度感を両立させたフォルム,細部まで熟考された操作性によって,医療の現場と患者それぞれの思いにこたえるデザインであると評価した。

LED光源搭載内視鏡システム「EP-6000,EG-6400N」

 

■ドライレーザーイメージャー「DRYPIX EDGE」
医用画像データをフィルムに高速かつ高画質で出力するドライイメージャー。一般X線撮影だけでなく,マンモグラフィ用の高精細記録にも対応している。出力までの所要時間は,半切サイズ(35.6cm×43.2cm)で約110枚/時のハイスピード処理を実現。装置上面の排出部には,各種サイズのフィルムの取り出し性向上と清掃性に配慮した必要最小限の段差とスロープ造形を設けた。本体部のカラーリングには,清潔感がある医療空間に調和する明度の高いホワイトと,ユーザーの視認性や誘導性を高めるブラックを採用し,現在の医療環境に最適な「機能性と美しさ」を両立したデザインを実現した。

【審査員の評価コメント】
上部の操作面はブラックでまとめられ,明確な操作の誘導を行うと共に機器に引き締まった印象を与えており,同社の他の医療機器群との統一感も考えられている。新興国の院内環境においてはしばしばメンテナンス性や清掃性が問題となるが,凹凸をおさえた形状と緩やかな角R処理によって,埃などが溜まりづらく清掃しやすいフォルムにまとめられている。シンプルな機能の機器ながらも,使う人と使われる環境に真摯に向き合って生まれた良質なデザインである。

ドライレーザーイメージャー「DRYPIX EDGE」

 

●問い合わせ先
富士フイルム(株)
コーポレートコミュニケーション部
TEL 03-6271-2000
http://www.fujifilm.co.jp/

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