インサイテック,薬剤難治性パーキンソン病に対するMRガイド下集束超音波治療の保険適用開始を発表
2020-9-1
メスを使わない低侵襲医療技術のイノベーターであるインサイテックは,同社のエクサブレート・ニューロ(ExAblate Neuro,販売名: MRガイド下集束超音波治療器 ExAblate 4000,承認番号:22800BZI00040000)が,薬剤難治性パーキンソン病に対する振戦及び運動症状緩和を目的とした治療について,2020年9月1日より保険収載されたことを発表した。
エクサブレート・ニューロは,MRI(磁気共鳴断層撮影装置)との併用により,脳深部にある標的組織に対し正確に超音波を集束させ,脳組織を局所的に加熱し壊死させることで,メスを使わずに患部を治療する。2016年12月に薬物療法で十分に効果が得られない本態性振戦における症状緩和を目的とし薬事承認を取得,2019年6月には公的保険適用となり,これまで国内12施設に導入されている。2020年1月に薬物療法で十分に効果の得られないパーキンソン病における振戦及び運動症状の緩和について薬事承認を得ていたが,今回の保険収載によりパーキンソン病に対する治療についても公的医療保険が適用されることとなった。
パーキンソン病はドパミン神経細胞の減少により,体のスムーズな運動調節に必要なドパミンが減少することで動作緩慢,振戦,筋固縮,姿勢保持障害などの運動症状を引き起こす進行性の病気で,60歳以上の100人に1人が発症すると言われ,国の難病法に基づく指定難病となっている。パーキンソン病の治療は薬物療法が中心だが,薬物療法で十分な効果が得られない場合に手術療法が検討される。エクサブレート・ニューロは手術療法のひとつで,視床を標的とする振戦症状の緩和及び脳深部刺激術が不適応の患者に対し淡蒼球を標的とする運動症状の緩和を目的とする治療が承認されている。
エクサブレート・ニューロのパーキンソン病に対する保険適用について,東京女子医科大学脳神経外科の臨床教授である平孝臣氏は「メスを使わない集束超音波治療がパーキンソン病に対し保険適用となったことで,パーキンソン病の患者さんにとって治療の選択肢が増え,より患者さんの症状に適した治療法の組み合わせが可能となることが期待できます。」と述べている。
インサイテックCEO(最高経営責任者)のモリース・フェレル氏は今回の保険収載について,「パーキンソン病に対する集束超音波治療が公的保険適用となったことで,日本の患者さんにこの治療をお届けできることを大変うれしく思います。」と述べている。また,インサイテック・ジャパン代表取締役のヤイール・バウアー氏も「今回の保険収載で振戦の代表的な原因疾患である本態性振戦とパーキンソン病の両方が保険適用となり,振戦治療の新たな選択肢としてより幅広い患者さんにご検討いただけるようになりました。」と述べている。
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InSightec Japan(株)
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