オリンパス,AIを搭載した内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN-UC」を発売
大腸内視鏡検査中,リアルタイムに炎症活動性評価をサポート

2021-1-27

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EndoBRAIN-UC

オリンパス(株)は,大腸の超拡大内視鏡※1画像をAIで解析し,検査中にリアルタイムで潰瘍性大腸炎(UC:Ulcerative Colitis)の炎症状態を高精度に評価することで医師の診断を補助する内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN-UC(エンドブレインユーシー)」を2021年2月5日から国内で発売する。本製品は潰瘍性大腸炎の評価において国内で初めて薬事承認を取得したAI製品。潰瘍性大腸炎の炎症活動性の有無を高精度で示すことで,潰瘍性大腸炎の治療方法の選択における医師の診断をサポートする。

本ソフトウェアは,昭和大学横浜市北部病院,国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学,サイバネットシステム(株)により研究開発された。臨床性能試験を経て,サイバネットシステム(株)が2020年4月27日に医薬品医療機器等法の製造販売承認を取得し,オリンパスは同社から国内における独占販売権を取得した。

オリンパスは,がんなどの大腸病変の検出から判別までをサポートする診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN-EYE」※2「EndoBRAIN」※3「EndoBRAIN-Plus」※4とあわせて,潰瘍性大腸炎を対象とした本製品をラインアップに揃えることで,大腸内視鏡診断におけるさまざまなシーンでAIによる包括的な医師の診断サポートを目指す。

※1 最大520 倍の光学拡大機能により,リアルタイムに細胞レベルでの生体内観察が可能な内視鏡
※2 大腸内視鏡検査中に病変が映っているかを解析することで,医師による病変の検出を補助する内視鏡画像診断支援プログラム
※3 非腫瘍・腫瘍の可能性を数値で示すことで,医師によるポリープの判別を補助する内視鏡画像診断支援ソフトウェア
※4 非腫瘍・腺腫・浸潤がんの可能性を数値で示すことで,医師による浸潤がんの判別を補助する内視鏡画像診断支援ソフトウェア

●主な特長

1.潰瘍性大腸炎の炎症状態を自動で評価し、リアルタイムでの診断支援を実現
2.超拡大内視鏡とNBI※5の併用により、高精度に医師の診断をサポート

※5 狭帯域光観察(Narrow Band Imaging=NBI)。血液中のヘモグロビンに吸収されやすい2つの狭帯域の光を照射することで、粘膜表面の微細な血管やその模様が強調表示される観察方法。

●開発の背景

潰瘍性大腸炎は,大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる原因不明の炎症性疾患である。罹患者数は国内約22万名※6で年々増加傾向にある。若年層に多く見られ,持続的に下痢と血便が繰り返されるのが特徴で,国が定めた指定難病の一つ。潰瘍性大腸炎は完治するのが難しいと言われ,通常炎症が強い「活動期」と比較的穏やかな「寛解期(おさまる)」を繰り返す。そのため,薬による内科的治療で可能な限り炎症を抑え,症状をコントロールすることが重要。
医師は患者の炎症活動性の有無を定期的に大腸内視鏡検査で評価し,治療方針を決定する。その際,内視鏡画像での炎症状態の観察に加え,生検による病理診断を行うことでより詳細な評価を行うことが推奨されている。しかし,潰瘍性大腸炎は炎症が広範囲にわたるため複数箇所を生検する必要があり,出血などの患者のリスクや内視鏡医,病理医の負担の増加などの課題がある。
今回発売する「EndoBRAIN-UC」は,大腸内視鏡検査中にオリンパス製の超拡大内視鏡を用いて撮影した粘膜をAIがリアルタイムで解析し,潰瘍性大腸炎の炎症活動性の有無を高精度で示すことで,潰瘍性大腸炎の治療方法の選択における医師の診断をサポートする。

※6 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究総括 研究報告書(平成28年度)

●主な特長の詳細

1. 潰瘍性大腸炎の炎症状態を自動で評価し,リアルタイムでの診断支援を実現
超拡大内視鏡Endocytoで撮影された大腸内視鏡画像をAIが解析し,潰瘍性大腸炎の炎症状態の評価結果(炎症活動性の有無)を数値で表示する。評価結果は通常検査で行われる内視鏡操作と連動して自動で表示されるため,特別な操作を必要とせず最適なタイミングで支援を受けることができる。評価結果はリアルタイムに表示されるため,検査中に潰瘍性大腸炎の炎症状態の病理診断を予測し,治療方針の判断をサポートする。

潰瘍性大腸炎の炎症状態を自動で評価し,リアルタイムでの診断支援を実現

 

2.超拡大内視鏡とNBIの併用により,高精度で医師の診断をサポート
本製品は超拡大内視鏡とNBIを組合せて観察することで得られる微細な血管などの情報をAIが解析し高精度での診断支援を行う。潰瘍性大腸炎の評価において,NBIを併用した超拡大内視鏡観察は,病理診断との強い相関があることが報告されている※7。通常の内視鏡観察は,炎症粘膜にレンズを接触させず一定の距離を保ちながら評価を行う。一方,超拡大内視鏡観察は炎症粘膜にレンズを接触させて観察するのが特長。接触観察により,AIの解析精度のばらつきの要因である対象病変との距離,観察倍率などの観察条件を常に一定にすることで安定した診断支援が可能となり,性能評価試験では感度※895%,特異度※991%,正診率※1092%という高い精度が得られた。本製品により,生検による出血などの患者のリスクや医療従事者の負担を軽減しながら,高精度な診断をサポートする。

※7 参考文献:Maeda Y et al. Digestive Endoscopy 2020
※8 潰瘍性大腸炎の寛解期の画像のうち,本品で正しく寛解期と評価された画像の割合。
※9 潰瘍性大腸炎の寛解期ではない画像のうち,本品で正しく寛解期ではないと評価された画像の割合。
※10 潰瘍性大腸炎の寛解期・活動期の画像のうち,本品で正しくそれぞれ寛解期・活動期と評価された画像の割合。

 

●問い合わせ先
オリンパス(株)
https://www.olympus.co.jp

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