富士フイルム和光純薬,迅速測定が可能な免疫分析装置『Accuraseed®』専用 新型コロナウイルス抗体測定試薬「アキュラシード COVID-19 抗体」(研究用試薬)新発売
2021-7-26
富士フイルム和光純薬(株)は迅速測定が可能な自動化学発 光酵素免疫分析装置『Accuraseed®(アキュラシード)』専用試薬として,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2) IgG 抗体※1 を測定対象とした研究用試薬「アキュラシード COVID-19 抗体」を7月26日より発売する。
新型コロナウイルスはスパイクタンパク質をはじめとするさまざまなタンパク質で構成される。スパイクタンパク質にはウイルスがヒトの細胞中に侵入する際に必要な受容体結合ドメイン(Receptor Binding Domain: RBD)※2 と呼ばれる箇所がある。ヒトが新型コロナウイルスに感染すると,血液中にはスパイクタンパク質のRBD などに結合する IgG,IgA,IgM などの複数種類のさまざまな抗体が産生される。
一般的に抗体検査では,血液中に生成された抗体を測定するが,新型コロナウイルスの抗体検査において,これまで,どのタンパク質に結合する抗体がウイルスの感染を阻害する性質(中和活性)を持つのかは明らかになっていなかった。
【新型コロナウイルスの構造図】
同社は,富士フイルム(株)と,藤田医科大学,国立感染症研究所との共同研究により,新型コロナウイルスに感染した患者の血液から検出された抗体のうち,スパイクタンパク質のRBD に結合する IgG 抗体が中和活性と相関性が高いことを明らかにした※3。
同社は,この研究成果をもとに,自動化学発光酵素免疫分析装置『Accuraseed®(アキュラシード)』を用いて,新型コロナウイルスのスパイクタンパク質のRBD に結合するIgG 抗体の抗体価を全自動で迅速に測定可能な専用試薬「アキュラシード COVID-19 抗体」を開発した。
また,前掲の4者の共同研究により,「アキュラシード COVID-19 抗体」を用いて,ワクチン投与前後の血液検体の測定を行ったところ,ワクチン投与後に IgG 抗体価の上昇を確認。ワクチン投与によって得られた抗体においても中和活性との相関が高いことを確認した※4。
なお,本試薬は研究用試薬のため,診断目的では使用できない。
自動化学発光酵素免疫分析装置『Accuraseed®』は,抗原抗体反応と化学発光反応を組み合わせた化学発光酵素免疫測定法に基づく免疫分析装置。甲状腺疾患や感染症など 30 項目以上の測定が可能で,測定時間約 10 分という迅速測定を実現しており,2015 年 11 月の発売以来,臨床現場における迅速診断のニーズに応えてきた。
同社は,企業活動のベースとなる「次の科学のチカラとなり,人々の幸せの源を創造する」という理念のもと,社会や顧客のニーズに応える高機能・高品質な製品を開発・提供し,医療をはじめとする幅広い分野 の産業や学術研究の発展に貢献していく。
※1 免疫グロブリン(Immunoglobulin)というタンパク質の一種。ウイルスへの感染初期にそのウイルスに対する抗体としてIgM 抗体が血中に生成され,その後IgG 抗体が生成される。
※2 新型コロナウイルスがヒトの細胞の中に侵入する際に必要な部分。ウイルスはRBD を介して細胞の表面にある受容体(ACE2)に結合すると考えられている。
※3 本研究の一部は,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の課題番号JP19fk0108110 及び JP19fk0108150 の支援を受けた。なお,論文は「The Journal of Immunology May 15, 2021, 206 (10) 2393-2401」に掲載。
※4 本研究の一部は,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究支援)課題「大規模検査に対応可能な,簡便で正確な COVID-19 免疫獲得検査システムの開発」および AMED の課題番号JP19fk0108110 の研究支援を受けた。なお,本研究成果は,プレプリントサーバーのmedRxiv に公開している。論文のタイトルは,「Antibody responses to BNT162b2 vaccination in Japan: Monitoring vaccine efficacy by measuring IgG antibodies against the receptor binding domain of SARS-CoV-2」。査読前の論文であり,今後内容が修正される可能性がある。
●今回発売する「アキュラシード COVID 19 抗体 」
『アキュラシード』シリーズの試薬は,使いやすさを追求した,一回の測定に必要な試薬が1つのカートリッジに封入されたモノテスト方式。装置には 20 カートリッジ入りのカセットをセットし,測定ごとに1カートリッジずつ自動開封する。カセットをセットする部分は保冷庫になっており,装置にセットした後も,各カートリッジは測定時まで最適な環境で保管される。
●自動化学発光酵素免疫分析装置Accuraseed
多数の検体を同時に処理でき,全ての検査項目が約 10 分で迅速に測定できる。
医療機器届出番号 27B3X00024000015
【製造販売元】富士フイルム和光純薬(株)
●問い合わせ先
富士フイルム和光純薬(株)カスタマーサポートセンター
TEL 03-3270-9134