エレクタ,患者モニタリングアプリケーション実証事業(プロジェクトライズ)がJETRO 対日直接投資喚起事業補助金対象プロジェクトに選定
革新的な患者モニタリングアプリケーションを通して, 日本の放射線治療とがん患者を支援
2023-6-15
エレクタ(株)(以下,エレクタ)は,患者経過観察アプリケーションKaiku Health(カイク ヘルス 以下,カイク)を用いた放射線治療の患者モニタリングアプリケーション実証プロジェクト「プロジェクトライズ」 (Project RISE : Radiotherapy Initiative for Survivorship Enhancement )が,JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)対日直接投資喚起事業補助金プロジェクトとして採択されたことを発表した。
「対日直接投資喚起事業補助金」事業は外国・在日外資系企業に対して,日本への革新的な技術やビジネスモデル等の導入を目指す支援として実施されている。採択企業は補助金を活用して,将来の事業展開を見据えたサービスの実証を行う。プロジェクトライズの規模は約2400万円を予定している。
カイクはフィンランドで開発されたアプリケーションで,世界各国でがん患者の経過観察に用いられている。すでに海外では治療後の患者モニタリングが,生存率改善に寄与していることが報告されている1。今回のプロジェクトでは,地域がん診療連携拠点病院に指定されている医療機関とエレクタが共同研究契約を締結し,2023年6月中旬から2024年1月末まで,以下のがんに対する放射線治療に対して,カイクのモジュール開発や運用を目指した既存モジュール評価などの実証実験を行う予定。
(1) 子宮頸がんに対する小線源治療
子宮頸がんは1年に約1万人が罹患し2,30歳代が発症のピーク。近年の晩婚化の影響もあり,日本女性の平均初婚年齢(29.2歳)と第一子出生年齢(30.9歳)3に近く,治療する過程で妊娠する能力を失ったり,治療後の後遺症が現れることもあるため,若い女性にとっては深刻な病気のひとつ。日本では,患者の約60%に対して放射線治療の一つである小線源治療が行われており,海外と比べても実施割合が高くなっている。現在,カイクは小線源治療後の患者モニタリングに非対応だが,今後,本プロジェクトでの実証を踏まえて,対応に向けた海外で開発が行われる予定。
(2) 白血病
1年に約14,000人が罹患する4血液のがんで,小児がんの中では最も多い病気。小児がんのうち,0.14歳では38%,15.19歳では24%が白血病の患者である5。白血病に対する骨髄移植の前には体内に残存する悪性腫瘍細胞を死滅させる目的でX線の全身照射が行われる。特に,医療機関で実施され始めているVMAT-TBIと呼ばれる新しい照射方法は,特定の臓器に対する放射線照射量を減らすことが可能なため,様々な有害事象を減らすことが期待されている。本プロジェクトでは,白血病の放射線治療の患者フォローアップにおいて,カイクの実用性の評価を行い,将来的な導入実現の可能性について研究を行う。
エレクタ(株) 代表取締役社長 木村元彦氏は「対日直接投資喚起事業補助金 補助事業者としてエレクタを採択いただき,大変光栄に思います。放射線治療は進化し続けていますが,日本では治療後の定期的な患者モニタリングに関する報告はまだ少ないのが現状です。本プロジェクトにより,がんとたたかう患者さんの治療を支援し希望を届けられるように,そしてイノベーションを通して,日本のがん治療により一層の貢献ができるように取り組んでいきます。」と述べている。
1 Basch E, Deal AM, Dueck AC, et al. Overall Survival Results of a Trial Assessing Patient-Reported Outcomes for Symptom Monitoring During Routine Cancer Treatment. JAMA. 2017;318(2):197.198. doi:10.1001/jama.2017.7156
2 国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービス
3 令和3年(2021)厚生労働省 人口動態統計
4 国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービス
5 国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービス
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エレクタ(株) マーケティング部 マーケティングコミュニケーションチーム
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