日立ハイテク,病院の採血室における患者の待ち時間を見える化へ 「採血呼出し時間予測AIシステム」を藤田医科大学病院で本格運用開始

2025-7-28

AI

日立(日立製作所,日立ハイテク)


呼出し時間が印字された採血受付票の見本

呼出し時間が印字された採血受付票の見本

藤田医科大学と(株)日立ハイテク(以下,日立ハイテク)は,共同研究講座の成果である「採血呼出し時間予測AIシステム*1」(以下,本システム)を,2025年8月から藤田医科大学病院で本格的に開始する。本システムは,AIを活用して採血の呼出し時間を予測し,患者に通知することで,待ち時間の有効活用,採血待合室の混雑緩和,患者の心理的負担の軽減などを実現する。

*1 特許申請中

背景

藤田医科大学と日立ハイテクは,2020年10月1日に共同研究講座「先端臨床検査技術開発講座」を開設し,AI・ロボットを病院臨床検査部へ導入する研究を行っている。この研究の一環として,体外診断における省力化および高度化に向けた先進技術の導入を推進している。
外来患者の採血における待ち時間の短縮は多くの医療施設に共通する課題である。厚生労働省の統計調査*2によると,診察の待ち時間が1時間以上になると「不満」を感じる患者の割合は5割を超えるという報告がある。採血についても,受付から実際の採血までの時間が長くなると患者満足度の低下につながると考えられる。この課題に対して,各医療施設では採血待ち時間短縮に向けて,さまざまな業務改善や工夫がされている。しかし,待ち時間の見通しが立たないことにより,「何もしていない時間は長く感じる」といった不満が残り,待ち時間の短縮だけでは患者満足度の向上に限界があるという現状がある。

*2 出典:厚生労働省「平成17年 受療行動調査の概要」

システムの特徴

本システムは,患者が病院の採血室で受付した際に,AIが採血呼出し時間を予測して患者へ通知するシステム。2023年9月に採血受付票に呼出し時間を印字する実証実験を開始し,「±4分以内での予測精度が94%」という高い精度を維持している。患者は呼出し時間がわかることで,待ち時間の過ごし方や場所を選ぶことができるので,滞在場所の分散が進み,待合室の混雑が緩和される。また,採血受付窓口担当者への,待ち時間に関する問い合わせがほぼ無くなり,受付業務の負担が軽減される。

藤田医科大学を運営する藤田学園では,医療従事者の負担軽減と業務の効率を図り,質の高い医療を持続的に提供することを目的に,病院内でのAI/ICTの導入を推進。これにより医療の質・患者サービスのさらなる向上に取り組んでいる。
日立ハイテクは,血液検査を中心とした体外診断システムなど,データとテクノロジーを通して,世界で毎年延べ10億人の健康な暮らしの提供に貢献している。今後も,医療現場の業務改善や患者サービス向上に取り組む医療スタッフに寄り添い,Lumadaを活用した課題解決,および環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現をめざす。
藤田学園と日立ハイテクは両者の強みを生かした研究を推進し,より安全・安心な医療の提供と医療現場における最先端のニーズに対応するソリューションを提供することで,人々が健康で豊かな生活を送り続けることができる未来に貢献していく。

 

●問い合わせ先
(株)日立ハイテク
ヘルスケア事業統括本部 ヘルスケアソリューション事業部
臨床検査ソリューション部
https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/contactus/

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