Livetoon,富士通・NVIDIAのヘルスケアAIエージェント実証実験に音声技術を提供
~医療現場の業務効率化に向けて,最高精度の日本語音声合成・音声認識技術で貢献~
2025-10-3
(株)Livetoonは,富士通(株)およびNVIDIA Corporationが推進するヘルスケアAIエージェントの実証実験において,同社の音声合成(TTS)および音声認識(ASR/STT)技術を提供し,プロジェクトの成功に貢献したことを発表した。
■プロジェクト概要
2025年8月27日に富士通が発表したヘルスケア特化型AIエージェント実行基盤の構築プロジェクトにおいて,同社は音声技術パートナーとして参画した。
本プロジェクトは,医療機関の経営効率化と安定的な医療サービスの提供を目的とし,受付・問診・診療科分類などの業務を自動化するAIエージェントの開発を進めてきた。

富士通プレス(https://global.fujitsu/ja-jp/pr/news/2025/08/27-01 )より引用
■提供技術の詳細
1. 日本語音声合成技術(Livetoon TTS)
1. 超低遅延: 短文120ミリ秒,長文760ミリ秒という最速級の処理速度を実現
2. 高精度: エンタメ域91.5%,ビジネス域90.0%の読み上げ精度
3. 医療用語対応: 専門用語や漢字の読み分けを高精度で処理
4. 感情表現: 患者に寄り添う温かみのある音声表現を実現
2. 音声認識技術(ASR/STT)
1. リアルタイム処理: 従来の2,000msから200ms(10倍速)への高速化を達成
2. 医療現場対応: 問診や受付での自然な対話を正確にテキスト化
3. ノイズ耐性: 医療現場特有の環境音にも対応
■NVIDIA AI Day Tokyo 2025でのデモ発表
2025年9月24日に開催された「NVIDIA AI Day Tokyo 2025」において,本プロジェクトで開発されたPoCのデモンストレーションを実施。医療現場の実際のユースケースに基づいたAIエージェントの動作を披露し,参加者から高い評価を獲得した。

AI Day発表スライドより引用

AI Day発表スライドより引用
■技術選定における評価
プロジェクト期間中,日本語の漢字読み分けや医療用語の発音精度において,国内外の複数の音声技術プロバイダーから同社がファーストチョイスとして選定された。
富士通からは「音声読み上げ特有の違和感がかなり小さく驚いた」との評価を得て,当初検討されていた他社技術から同社技術への切り替えが実現した。
■プロジェクトタイムライン
2025年6月: NDA締結,技術検証開始
2025年7月: 弊社TTS技術のプレスリリース,NVIDIAコンテナへの組み込み検証
2025年8月: 記者発表用デモ動画への音声提供,実証実験の本格化
2025年9月: NVIDIA AI Day Tokyoでのデモ発表,プロジェクト完了
■今後の展望
同社は本プロジェクトの成功を踏まえ,以下の展開を予定している
医療特化型音声モデルの開発強化
・医療用語辞書の拡充
・クローン音声技術による個別化対応
・多言語対応の検討
ヘルスケアAIエコシステムへの貢献
・NVIDIA NIMマイクロサービスとの統合深化
・富士通Healthy Living Platformでの展開
・他医療機関への横展開支援
新たなユースケースの開発
・遠隔診療支援システム
・医療従事者向け音声入力システム
・患者向け服薬指導・健康管理アプリケーション
■最高技術責任者(CTO) 長嶋 大地 氏のコメント
このたび,富士通様,NVIDIA様という世界をリードする企業様と共に,医療DXという社会的意義の大きなプロジェクトに参画できたことを大変光栄に思います。
私はAI開発者であると同時に医師としての経験も持っており,日本の医療機関が直面している長時間労働や業務負担といった深刻な課題を身をもって理解しています。医療従事者の疲弊は,最終的には患者様への医療サービスの質にも影響を与える重要な問題です。
今回,当社がフルスクラッチで開発した純国産の音声技術が,これらの課題解決の一助となることができたことは,私個人にとっても大きな意義があります。特に日本語の複雑な漢字読みや医療専門用語への対応という難易度の高い要求において,国内外の多くのサービスプロバイダーの中から当社がファーストチョイスとして選定されたことは,技術力の証明となる重要なマイルストーンとなりました。
当社のビジョンは『AIが人類と共生し,人類に更なる自由と幸福をもたらし続ける世界』の実現です。医療現場でのAI活用を通じて,医療従事者の方々がより本質的な患者ケアに集中できる環境を作り,すべての人々の健康と幸福に貢献してまいります。
■代表取締役(CEO) 木下 恭佑 氏のコメント
私たちLivetoonは,AIを単なる効率化のツールとしてではなく,人々の心に寄り添い,人生の意味や楽しみを拡張する存在として社会に実装してきました。
これまではエンターテインメント領域での注目が中心でしたが,今回の取り組みは「AIと人との対話」が,街やビジネス,生活のあらゆる場面へ広がり得ることを示す大きな一歩だと考えています。AIが問いかけ,耳を傾け,ときに導くことで,人は自分らしい答えを見つけていく。
その過程を支える「文化と哲学を備えたAI」を提供し続けたいと思います。
効率や利便性を超えて,人と社会に新しい物語を生み出すこと。それこそが私たちの挑戦であり,技術と思想の両面からその実現を目指してまいります。
●問い合わせ先
(株)Livetoon
https://livetoon.net/