2008年:320列Area Detector CT(ADCT)の衝撃。四次元情報の収集によって動態診断が可能に
2025-3-31
2007年のRSNAの開催に当たっては,「東芝メディカルシステムズ社から256列検出器搭載CTが発表されるらしい」という事前情報があり,学会参加者や他メーカーからの熱い視線を集めていたが,実際にはそれを上回る320列ADCT「Aquilion ONE」が発表され,大きな衝撃が走った。ITEM 2008では,そのAquilion ONEの実機が国内初出展されるとあって,会場の話題をさらった。
東芝メディカルシステムズ社(現・キヤノンメディカルシステムズ社)のAquilion ONEは,1回転で脳や心臓などの臓器全体(最大16cmの範囲)を最短0.35秒で撮影できるほか,連続撮影することで四次元(三次元+時間)情報の収集も可能である。形態画像に加え血流情報も取得することで臓器全体の動態診断が可能となり,脳梗塞や心筋梗塞など従来は複数の診断装置で検査する必要のあった疾患の診断も,Aquilion ONEのみで完了できる可能性がある。関節の動きなどの動態情報も得られるため,整形外科やスポーツ医学といった領域での応用も期待されるほか,短い撮影時間で検査が終了するため,救急や小児の患者に対するメリットも大きい。さらに,冠動脈検査では造影剤量を半減でき,被ばく線量を約1/4に低減できるなど,患者の負担軽減も可能となる。

320列ADCT「Aquilion ONE」
シーメンス社は,128スライスの撮影が可能なAdaptive Scanner CT(ASCT)として「SOMATOM Definition AS」を発表した。最小設置面積18m2という優れた設置性を実現しつつ,0.30秒の世界最速のガントリ回転速度と,通常モードで0.33mm,ハイレゾリューションモードでは0.24mmというきわめて高い空間分解能,100kWの高出力によって,高心拍患者や大柄な患者など,あらゆる患者に対して優れた検査性能を持つ。開口径は78cmと大きく,生命維持装置をつけた状態での検査にも対応し,200cmの撮影範囲をわずか10秒で撮影できるなど,救急でも威力を発揮する。また,最大27cmの範囲を四次元データ化する新しい撮影モード「Adaptive 4D Spiral」によって,撮影時にテーブルを連続的に前後に動かすことで,一度の検査で全脳や全肝の灌流情報の取得が可能となった。CTPのほかCTAにも対応しており,心拍動や嚥下運動などの機能観察も可能である。このほか,スパイラル撮影の際に発生する撮影範囲前後の不必要な被ばくを,X線管の下に搭載されたDose Shieldで完全にカットする新撮影機能「Adaptive Dose Shield」が紹介された。

128スライスASCT「SOMATOM Definition AS」
GE社は,心臓撮影時の無駄な被ばくを低減する技術「SnapShot Pulse」が標準搭載された64列マルチスライスCT「LightSpeed VCT XT」と,RSNA 2007で発表され話題となった,次世代CTのコンセプトモデルであるHigh Definition CT(HDCT)の新しい検出器「Gemstone Detector」を展示した。Gemstoneの素材となっているガーネットは従来のX線検出器と比較し,放射線に対する反応スピードは立ち上がり時が約150倍,残光は約1/10であり,光の変化に正確に追従できるという特性を持つ。同社では,これらの特性を利用した新技術の開発が進められており,その一つが1管球によるdual energy撮影である。80kV,140kVを0.8msサイクルで高速に切り替えながら撮影することで,ブレのない,きわめて高精細な画像の取得が可能になる。このほか,従来の50%の被ばく低減を実現しつつ従来と同等の高画質が得られ,または従来と同じ線量でさらなる高画質を実現するための新ノイズリダクションアルゴリズム「ASiR(Adaptive Statistical iterative Reconstruction)」が紹介された。

64列マルチスライスCT「LightSpeed VCT XT」
フィリップス社は,「Essence Technology」を搭載した「Brilliance CT 64」を出展した。Essence Technologyは,参考出品された0.27s/rotの高速スキャン,80 mm(0.625 mm×128)のワイドカバレッジを実現した「Brilliance iCT」に採用されている技術。X線管の熱膨張による焦点ブレを抑えて長寿命化を実現しているほか,新開発の「Nano Panel Detector」を採用し,電子ノイズを従来比で86%低減するなど,画質向上や被ばく低減を実現する。さらに,画像再構成システムを高速化したことにより,処理能力も向上させている。このほか,低被ばくでの心臓CT検査を可能にするアプリケーション「Step & Shoot cardiac」では,被ばく線量を従来比で1/3以下に低減できるほか,撮影中,不整脈発生時には自動的にスキャンを休止し,心拍が安定した時点で自動的に再開する。

64列マルチスライスCT「Brilliance CT 64」
日立メディコ社(現・富士フイルムメディカル社)は,各医療機関の検査数や検査内容,設置スペースなどに応じてカスタマイズ可能な「ECLOS」を展示した。検出器列数は4/8/16列の3種類があるほか,3.5HUと5.0HUの2種類のX線管,ロングテーブルとスタンダードテーブル,ネットワーク構成を自由に選ぶことができ,導入後の変更やアップグレードにも対応する。心臓CT検査に必要なハイスペックな機能は極力カットし,臨床での使いやすさと検査効率を追究している。このECLOSに,CT検診アプリケーション「Pointerシリーズ」の2つの機能が新たに追加された。「wallPointer」は,特に胸膜部分の高吸収領域を抽出する機能であり,抽出箇所を2D/3D画像上でカラーマッピングすることで,その分布状況を容易に観察可能となる。「osteoPointer」は,頸椎および胸椎の海綿骨のSV値(sparse value)を算出する機能であり,脊椎のRaySum画像上にSV値を表示して解析することで,脊椎の脆弱性を推定できるツールとして期待されている。

4/8/16列マルチスライスCT「ECLOS」