2024年:AI技術の搭載による臨床価値の向上をアピールするCTの新製品が多数登場

2025-3-31


ITEM 2024においても,CTの新製品が多数紹介された。いずれもAIを応用した複数の技術が搭載されており,臨床価値を向上することなどがアピールされていた。

キヤノンメディカルシステムズ社は,新たなフラッグシップCT「Aquilion ONE / INSIGHT Edition」と,バージョンがV1.5に進化した80列マルチスライスCT「Aquilion Serve」を展示した。国内初展示となったAquilion ONE / INSIGHT Editionは,ハードウエア・ソフトウエアの両面において進化した高精細ADCTとして大きくアピールした。ハードウエアにおいては,0.24 s/rotの高速撮影を実現したほか,X線光学系技術を一新。新開発のX線管球「CoolNovus」は70kV/1400mAの低管電圧/高出力撮影を実現し,低管電圧撮影の適用拡大などに貢献する。また,新たな検出器「PUREINSIGHT Detector」により,従来比約40%の電気ノイズを低減し,低線量撮影時のSDを改善させる。ソフトウエア面では,AI技術により画質改善とワークフロー改善を実現した。PIQEが心臓に加えて胸部・腹部にも適用を拡大するとともに,1024マトリックスでの再構成にも対応した。また,ディープラーニングを用いて設計した新たな体動補正技術「CLEAR Motion」が実装された。肺野領域の構造物の動きの方向や量の推定にディープラーニングを活用することで高精度にモーションアーチファクトを低減でき,PIQEや最大450 mm/sの高速ヘリカルスキャンと組み合わせることで,さらなる被ばく低減と高画質が可能になる。さらに,新たなワークフローを実現する「INSTINX」も搭載されている。ガントリ内蔵カメラで取得した映像を基にした「Automatic Camera Positioning」や「Automatic Scan Planning」によるポジショニングやスキャン計画の自動化,「Automatic Hanging Layout」による画像の自動展開により,操作者の負担を軽減しつつワークフローを改善し,一貫性のある検査を実現する。Aquilion Serveについては,INSTINXの機能の一つである低線量ヘルカルスキャンによる位置決め「3D Landmark Scan」を活用している施設が増えていることを紹介し,精度向上や時間短縮などの新たな価値を提供していることをアピールした。また,展示場屋外には,80列CT「Aquilion Lightning / Helios i Edition」を搭載した災害・感染症対策医療用コンテナCTも展示。検査・操作・発電のオールインワン提供やゾーニングが可能で,患者との接触を避けつつスムーズに検査を行えることなどを紹介した。

高画質・低線量撮影とワークフロー改善が可能な新たなフラッグシップCT「Aquilion ONE / INSIGHT Edition」

高画質・低線量撮影とワークフロー改善が可能な新たなフラッグシップCT
「Aquilion ONE / INSIGHT Edition」

 

体動補正技術「CLEAR Motion」と「PIQE」の併用で肺野領域の高画質化と被ばく低減を実現

体動補正技術「CLEAR Motion」と「PIQE」の併用で肺野領域の高画質化と被ばく低減を実現

 

フィリップス社は,2024年4月に発売したばかりの「CT 5300」の実機を国内初展示した。64列128スライス,0.35 s/rotのスペックを有するハードウエアと先進のAI技術を組み合わせることで,フラッグシップクラスの心臓CT検査を可能にする。撮影者の技量や患者(高心拍・不整脈)に依存せず高画質・低線量な検査が可能なほか,シームレスで円滑なワークフロー,長期にわたる経済的メリットが特長で,心不全パンデミックにより高まる心臓CTのニーズに応える装置だ。CT 5300には新型高効率検出器「NanoPanel Precise Detector」を搭載するとともに,AI画像再構成「Precise Image」と心臓専用のモーションフリー画像再構成機能「Precise Cardiac」を実装。ハード・ソフトの両面から心臓CTの画質向上を図り,冠動脈のブレがない画像を従来の1/5程度の線量で取得できる。Precise Imageにより,心臓だけでなく全身領域の画質向上を実現しており,頭部においてはMRIライクな画像を得られることもアピールした。さらに,自動的に肋骨を展開した画像を作成する「Precise Rib」や,ヘリカル撮影画像からOMラインに沿った画像を自動作成する「Precise Brain」,椎体に沿ったMPRを作成して椎骨の自動ラベリングを行う「Precise Spine」などのアドバンスツールも利用できる。また,AIカメラにより13か所の身体的特徴から被検者の向きや部位を自動認識し,ポジショニングを支援する機能も搭載する。検査担当者はガントリに備えられたタッチパネルで患者の体位・撮影部位を確認してボタンをタップするだけで,寝台の高さも含めて患者を適切な撮影位置にセットアップできる。マニュアルでの操作を少なくすることで,技師の技量によるバラツキを低減し,ワークフローを改善する。

心臓AI技術やAIカメラを備えたプレミアムモデル「CT 5300」

心臓AI技術やAIカメラを備えたプレミアムモデル「CT 5300」

 

低線量でブレのない心臓CT検査を実現

低線量でブレのない心臓CT検査を実現

 

頭部においてはMRIライクな画像を取得可能(右はMRI FRAIR画像)

頭部においてはMRIライクな画像を取得可能(右はMRI FRAIR画像)

 

自動認識された患者の体位・撮影部位を確認するだけでセットアップが完了

自動認識された患者の体位・撮影部位を確認するだけでセットアップが完了

 

シーメンス社は,DSCTの可能性をさらに発展させるべく開発された第5世代DSCTとして,「SOMATOM Pro.Pulse」を発表した。ハードウエア,ソフトウエア共に一新され,従来のDSCTと比べて比較的コンパクトでありながらも,さまざまな最新技術が搭載されている。DSCTはもともと,SSCTの2倍の時間分解能によって高精度な心血管イメージングを可能とした装置として知られるが,SOMATOM Pro.Pulseでは新たに搭載された技術によって,より良好な心臓CT検査の提供が可能となった。ハードウエアは,Photon Counting CT「NAEOTOM Alpha」と同じプラットフォームを採用しつつ,エネルギー積分型検出器(EID)を搭載。86msというきわめて高い時間分解能によって,心拍の影響を受けづらい安定した画像が得られ,高心拍や不整脈の患者でもβブロッカーを使用することなく心臓CT検査を行うことができる。一方,DSCTでは,特に息止め不良患者などにおいて,マルチスライス撮影による画像のつなぎ目にズレが生じるバンディングアーチファクトが発生することが課題であったが,新開発の画像再構成技術「ZeeFree」によって,連続する心拍の位置情報の変位をベクトル解析することで,バンディングアーチファクトを解消し,心臓全体の連続性を担保した信頼性の高い画像の取得が可能となった。また,SOMATOMシリーズのDSCTとしては初めて,人工知能(AI)を用いて開発された全自動撮影システム「myExam Companion」が搭載された。被検者の身体的特徴や心拍,息止めの可否,体内金属の有無などを選択するだけで最適な撮影条件を自動設定し,検査を実施するほか,検査後には必要な画像の作成や解析などが自動で行われる。これにより,難易度の高い心臓や脳卒中,dual energyなどの検査においても,オペレータのスキルや経験に依存しない正確かつ再現性の高い検査を効率的に実施可能となる。そのほか,SOMATOM Pro.Pulseでは,従来は天井から吊り下げられていた3Dカメラをガントリ上部に搭載した。赤外線とRGBの2眼で患者の位置や体形などを確認し,最適な位置から撮影できるよう自動でポジショニングされる。また,ガントリ横には,DSCTで初めて操作用タブレットが搭載された。画面をタップするだけで検査を進めることができ,操作がより容易となる。操作用タブレットは取り外し可能で,画面を縦横どちらの向きでも使用することができる。さらに,ハードウエアにおいては電源容量を従来のDSCTの2/3まで小型化したほか,X線発生器をガントリに内蔵し,冷却システムを水冷方式から空冷方式に変更したことでチラーの設置が不要となり,設置面積が狭小化している。消費電力も従来のDSCT比で20%削減された。

ハードウエア,ソフトウエア共に一新された第5世代DSCT「SOMATOM Pro.Pulse」

ハードウエア,ソフトウエア共に一新された第5世代DSCT「SOMATOM Pro.Pulse」

 

ガントリ上部に搭載された3Dカメラ

ガントリ上部に搭載された3Dカメラ

 

ガントリ横に搭載された操作用タブレット

ガントリ横に搭載された操作用タブレット

 

GE社は,最先端の画像再構成アルゴリズム「True Enhance DL」をはじめとする3つのAIを搭載する64列128スライスのハイエンド装置「Revolution Ascend Elite」を出展した。Revolution Ascend Eliteは,2年前にリリースされたRevolution Ascendのガントリカバーやテーブスサイズを更新,最新の3Dカメラと画像再構成技術の2つのAIに加え,新たに開発されたTrue Enhance DLが初めて搭載された。True Enhance DLは,「Revolution CT/Revolution Apex」シリーズにも搭載されているGSI技術を基に開発され,AI画像再構成技術により従来のsingle energy撮影による120kV画像データから仮想モノクロマチックイメージ相当(50keV相当)の画像を生成する。これにより,dual energy撮影装置がなくても,撮影プロトコールを変更することなくコントラスト向上や造影剤使用量の低減が可能となる。本技術は,同社CT技術部が2020年に国内の医療機関・研究機関と共同研究を開始。大規模なGSI臨床画像データの中からモノクロマチック70keVと50keVの画像データを教師画像として学習し,技術を確立したが,その過程で日本の臨床医からのフィードバックを取り入れつつ開発された。また,Revolution Ascend Eliteも日本の日野工場を中心に日本主導で開発が行われたことも併せてアピールされた。Revolution Ascend Eliteは,dual energy撮影装置の導入のハードルが高い市中病院などの施設や,生産性と収益,読影効率などの観点から装置更新を検討する施設への導入を図っており,すでに海外の数施設で臨床使用が開始されている。

最先端の画像再構成アルゴリズム「True Enhance DL」を搭載したCT装置「Revolution Ascend Elite」

最先端の画像再構成アルゴリズム「True Enhance DL」を搭載したCT装置「Revolution Ascend Elite」

 

Revolution Ascend Elite搭載のAI 3Dカメラ

Revolution Ascend Elite搭載のAI 3Dカメラ

 

True Enhance DLで生成したイメージ

True Enhance DLで生成したイメージ

 

富士フイルムヘルスケア社(現・富士フイルムメディカル社)は,「FCT iStream」のほか,体動アーチファクトの低減技術や検査をサポートする自動化機能を強化した64列CT「SCENARIA View Plus」を展示した。FCT iStreamは,富士フイルムの“F”の文字を冠したFCTの第一弾として2023年12月に国内で発売され,RSNA 2023の展示ブースでもお披露目された。日立製作所の画像診断関連事業の買収後,富士フイルムの開発スキームや技術を注ぎ込み,一から設計し直して開発した最初のCT装置となる。FCT iStreamは,CTとしての高画質・低線量・高速撮影の提供はもちろんのこと,富士フイルムグループのCTとして,検査オーダからスキャン,画像解析,読影という検査ワークフローのすべてを,富士フイルムグループの製品やシステムでトータルに提案することで,病院における検査業務に最適な提案が可能になる。その中で,中核となるFCT iStreamのさまざまな機能をブースで紹介した。ハードウエアとしては,6MHUのX線管装置を搭載し最大管電流670mAの高いX線出力が可能で,造影検査を多く行う施設でも運用しやすいスペックとなっている。また,画像処理機能「IPV」,検査効率向上技術「SynergyDrive」を搭載し,3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT Core」を採用して,高速,高精細な画像検査を効率的なワークフローで実施できる。一方,SCENARIA View Plusは,心臓検査にも対応した64列CTとして2022年に登場した。今回の展示では,適用対象が拡大されたポジショニングサポート機能の「AutoPositioning」やスキャン範囲自動設定機能「AutoPose」の新機能,胸部(肺野)領域をターゲットにしたモーションアーチファクト低減技術「Body StillShot」などを中心に紹介した。AutoPositioningは,寝台の上に設置されたカメラの映像から患者の特徴点(顔の目,鼻,口や腰,足首など)をAI技術で自動認識して,ワンボタンで最適な位置まで寝台が自動で移動する。SCENARIA View Plusは開口径が80cmと広く,寝台の左右動も可能で正中位まで自動で合わせることが可能になる。さらに,AutoPose機能では撮影されたスキャノグラムから撮影範囲の自動設定が可能で,頭部ではOMラインに合わせた設定など撮影範囲や最適なFOVが推奨条件として設定される。最新バージョンでは,適用対象部位がAutoPositioningとAutoPoseともに14種類に拡大された。従来のCardio StillShotに加えて,肺野・縦隔・大血管など胸部領域のCT撮影時に適用可能なBody StillShotを搭載した。Body StillShotは,胸部領域の撮影時に適用可能で非剛体位置合わせによって四次元の動きのベクトルを算出して適用することで,体動アーチファクトを低減する。収集したRaw Dataから被写体の動く方向と量を四次元的に算出する際に,体軸方向の連続性を広範囲に維持することでアーチファクトの少ない画像を提供する。心電情報を必要としない演算アルゴリズムを採用しているため,胸部ルーチン検査へ適用でき,IPVとの併用も可能となっている。

富士フイルムの“F”の文字を冠したFCTの第一弾となる64列CT「FCT iStream」

富士フイルムの“F”の文字を冠したFCTの第一弾となる64列CT「FCT iStream」

 

AI技術を用いたポジショニングや撮影範囲の自動設定機能を拡張した「SCENARIA View Plus」

AI技術を用いたポジショニングや撮影範囲の自動設定機能を拡張した「SCENARIA View Plus」

 

モーションアーチファクトを低減する「Body StillShot」を搭載

モーションアーチファクトを低減する「Body StillShot」を搭載


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