2016年:dual energy imagingに革新をもたらす,常時スペクトラルイメージングを取得可能な二層検出器搭載装置が登場

2025-3-31


ITEM 2015にて,フィリップス社は2層検出器技術によるSpectralイメージングを紹介し,注目を浴びたが,ITEM 2016ではいよいよ新製品として「IQonスペクトラルCT」が登場した。また,数社がブースにて40周年記念企画を実施。CTの進化の歴史を振り返った。

フィリップス社ブースでは,RSNA 2014での発表後,日本への展開が待たれていた「IQonスペクトラルCT」が遂に発売となり,来場者に大きく紹介された。IQonスペクトラルCTは,従来と変わらぬルーチン検査でスペクトラルイメージングが可能となることが大きな特長の一つである。搭載された検出器「NanoPanel Prism」は,異なる素材の検出器を上下2層に重ねた構造となっている。上層のYttriumシンチレータで低エネルギー,下層のGOSシンチレータで高エネルギーを弁別して収集し,スペクトラルデータセット「SBI(Spectral Based Image)」を生成することで,通常の120kVpの撮影をするだけで120kVp画像の取得に加えて,レトロスペクティブにスペクトラルイメージングを得ることができる。撮影前にスペクトラルイメージングを撮影するかの判断や設定をする必要はなく,特殊な撮影法ではないため,AECやFOV,mAs,管球回転速度,心電図同期,逐次近似再構成など,従来の設定を変えずに撮影でき,被ばくを抑えた撮影が可能で,ワークフローも変わらない。2層検出器であるため,従来のdual energy撮影で課題となっていた位置ズレや時相ズレがなく,高精度・高画質のスペクトラルイメージングが可能な点も特長である。40~200keVの仮想単色X線画像を容易に表示することができ,造影画像で濃染が弱い場合には低エネルギー画像を,金属アーチファクトが多い場合には高エネルギー画像を表示し,診断に役立てることができる。低エネルギー画像でもノイズの増加がない点も大きなメリットである。また,ヨード画像や実効原子番号(Z effective)画像を取得できることで,診断に有用な画像を提供できるのはもとより,例えば定期的に単純・造影によるフォローアップが必要な患者では,造影画像から仮想単純画像を得ることで撮影回数を減らし,被ばく低減に貢献できる可能性もある。

二層検出器を搭載した「IQonスペクトラルCT」

二層検出器を搭載した「IQonスペクトラルCT」

 

GE社は,1975年にX線管と検出器が同時に回転する第三世代のCTを開発し,翌76年には「CT7800」を発表した。それから40年を迎えたITEM 2016では,「40th GECT Anniversary ~40年の歴史が創り出すClinical Outcome~」をテーマに掲げ,フラッグシップの「Revolution CT」,「Revolution GSI」と「Revolution EVO」が展示された。画質,スピード,カバレッジというCTに求められる3つの要素で最高のものをめざして開発されたRevolution CTは,160mmの撮影範囲をカバーする「Gemstone Clarity Detector」を採用。完全非接触にしたガントリのスリップリングにより,電子ノイズを25%削減した。日本で開発・製造される3Dコリメータにより,散乱線を除去して,高画質化を図っている。Revolution GSIは,デュアルエナジーイメージング機能である「Gemstone Spectral Imaging」が可能な装置。また,Revolution EVOは,逐次近似応用再構成法である「ASiR-V」を搭載し,ノイズを抑えつつ高画質を実現した。最大約82%の被ばく低減と低管電圧撮影による造影剤量削減を図っており,従来機種に比べて検査効率を40%向上することができる。

ハイエンドクラスの「Revolution CT」のガントリ

ハイエンドクラスの「Revolution CT」のガントリ

 

デュアルエナジーイメージングが可能な「Revolution GSI」

デュアルエナジーイメージングが可能な
「Revolution GSI」

 

低被ばくと造影剤量減を図れる「Revolution EVO」

低被ばくと造影剤量減を図れる「Revolution EVO」

 

シーメンス社は,2015年に医療機器メーカー初のCT「SIRETOM」の製品化から40周年,世界初のDSCT「SOMATOM Definition」の発表から10年を迎えたとして,展示を行った。同社CTの代名詞とも言えるDSCTを前面に押し出し,“yes, DS”をテーマに掲げて,最新技術を紹介した。なかでも最も注目を集めたのが,参考出品された最新のDSCT「SOMATOM Drive」である。プレミアムクラスの「SOMATOM Force」に次ぐハイエンド装置であるSOMATOM Driveは,新開発のX線管「Straton MX Sigma」を搭載。検出器に「StellarInfinityDetector」を採用した128スライスのDSCTである。スキャン速度は458 mm/s,時間分解能も75 msという高性能を有し,心臓CTのほか,4D撮影で威力を発揮する。Straton MX Sigmaは,ハイパワーを特長としており,管電圧を70~140kVで10kV単位で設定でき,低電圧撮影でも従来よりも20%高い管電流を使用することが可能である。加えて最近のトレンドであるLow kVイメージングやX線スペクトルを変調したスキャンなども可能となっておりpersonalized low doseの実践を可能としている。

参考出品された「SOMATOM Drive」

参考出品された「SOMATOM Drive」

 

東芝メディカルシステムズ社(現・キヤノンメディカルシステムズ社)は,Aquilion ONEシリーズの最上位機種である「Aquilion ONE / GENESIS Edition」をCTコーナーの最前面に展示した。これまでのADCTのノウハウをさらにブラッシュアップして高画質化,低線量撮影を追究しながら,ガントリのコンパクト化を実現。ADCTの可能性をさらに拡大する新たなグローバルスタンダードCTとして投入されたフラッグシップモデルである。Aquilion ONE / GENESIS Editionでは,撮影系のプラットフォームを一新したX線光学系技術「pureViSION Optics」を搭載した。pureViSION Opticsでは,X線入出力のコンポーネントをトータルで見直し,出力側は被ばく増の要因となる低エネルギー領域のX線スペクトラムをカットしてエネルギー分布を最適化,入力側のpureViSION Detectorの高いX線検出能を生かして精度を高めた。さらに,画像再構成法にはFull IRの逐次近似画像再構成FIRSTを搭載し,さらなる低被ばく,高画質の撮影を実現している。また,Aquilion ONE / GENESIS Editionでは機能アップを図りながら,ガントリサイズをコンパクト化したことも特長で,ガントリサイズは同社の64列CTよりも小さい高さ1925mm×幅2270mm×奥行き960mmとなっている。設置の際には処理コンポーネントの小型化で機械室が不要になり,検査室の最小設置面積は19m2と64列CTからのリプレイスも可能なサイズを実現した。そのほか,±30°のチルト機能や検査をサポートする「エリアファインダ機能」などが来場者の注目を集めた。

ADCTの最上位機種となる「Aquilion ONE / GENESIS Edition」

ADCTの最上位機種となる
「Aquilion ONE / GENESIS Edition」

 

78cmの大口径ガントリは±30°までのチルトが可能でさまざまな検査に対応

78cmの大口径ガントリは±30°までのチルトが可能でさまざまな検査に対応

 

日立製作所(以下,日立)社(現・富士フイルムメディカル社)は,患者,操作者,経営,環境に優しい最新の「Supria」シリーズをアピールした。Supriaシリーズは,2013年8月に16列マルチスライスCT「Supria」,2015年1月に64列マルチスライスCT「Supria Grande」,そして2015年11月にそれぞれをリニューアルした「Supria Advance」と「Supria Grande Advance」をリリースしており,すでに国内で600台,海外を合わせて900台を出荷している。Supriaシリーズは,75cmの大開口径ながらガントリは幅2m,高さ1.85mを下回り,ガントリ,寝台,操作卓の3ユニットで構成された小型設計が特長の装置。会場では3m×4mの検査室をイメージした木目調タイルの上にモックアップを設置し,コンパクトさを実感できるように展示した。Supria AdvanceとSupria Grande Advanceは,12m2を下回る検査室にも設置できるように寝台の撮影範囲の変更を可能にしている。また,新機能として待機電力を約30%低減するエコモードを搭載しており,経営と環境に優しい装置となっている。なお,検出器交換により16列から64列へのアップグレードにも対応可能だ。

16列CTが入っていた検査室に64列CTを据え付け可能な「Supriaシリーズ」

16列CTが入っていた検査室に64列CTを
据え付け可能な「Supriaシリーズ」


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