2012年:コンパクト設計のCTの新製品が各社から発表されたほか,逐次近似応用再構成法の進化にも注目

2025-3-31


ITEM 2012でもCTの新製品が多数発表されたが,日本の医療環境に合ったコンパクト設計の製品が多い傾向が見られた。また,逐次近似応用再構成法は技術が進化したほか,装置への搭載が進んでいる様子がうかがえた。

東芝メディカルシステムズ社(現・キヤノンメディカルシステムズ社)は,320列ADCT「Aquilion ONE」,初出展の80列「Aquilion PRIME」と16列「Alexion」を展示した。Aquilion PRIMEは,0.5mm×160スライス,160mm/sの高速ヘリカルスキャン撮影で,短時間で高画質を提供する。開口径は78cmとなっており,容易なポジショニングなど被検者の負担を減らすだけでなく,穿刺などの手技も行いやすい。Alexionは,設置面積が10.4m2とコンパクト設計が特長。対話形式で操作を進められるナビゲート機能を搭載している。また,ITEM 2012に先立ち,設置ずみも含め,100台以上の国内すべてのAquilion ONEに「AIDR 3D」を搭載したことがアナウンスされた。AIDR 3Dは,逐次近似法を応用した画像再構成技術。再構成時間がほとんど変わらずに,最大でノイズを50%,被ばく量を75%低減する。今後,「Aquilion」シリーズの新製品にはすべてAIDR 3Dを標準搭載していくとし,2012年に1月に発表した4マルチスライスCT「Alexion / Access Edition」にも搭載された。

80列/160スライスCT「Aquilion PRIME」

80列/160スライスCT「Aquilion PRIME」

 

コンパクト設計で中小規模病院も導入しやすい「Alexion」

コンパクト設計で中小規模病院も導入しやすい「Alexion」

 

シーメンス社は,日本の市場を見据えて開発した64スライスCTの「SOMATOM Perspective」を展示した。SOMATOM Perspectiveは,日本市場をターゲットに開発された装置で,日本の医療環境にマッチした64スライスCTとして投入された。収集スライス厚0.6mm,最大ガントリ回転速度0.48秒など,従来の64スライスの性能を搭載しながら,リーズナブルで使いやすい装置をめざした。設置性だけでなく搬入・取り付けまで考えたコンパクト設計(16スライスクラスと同等の設置面積18.5m2),高画質,低被ばくに加え,効率的(efficiency)な撮影を提供する「eMode」を搭載した。eModeでは,省電力かつ装置にとってやさしい条件で稼働することで,長期の安定稼働を実現してランニングコストを抑え,効率的な運用を可能にする。撮影では,64スライスによる高速,高精細画像を提供でき,Rawデータベースの逐次近似的再構成法である「SAFIRE」を搭載する。

64スライスCT「SOMATOM Perspective」

64スライスCT「SOMATOM Perspective」

 

フィリップス社は,2011年に発売した「Ingenuity CT」の実機展示を行った。Ingenuity CTは,64と128スライスの2種類をラインアップしている。また,フラッグシップのBrilliance iCTシリーズに,「iDose4」などの最新の技術を利用できるTVI Editionが登場した。第4世代の逐次近似画像再構成法であるiDose4では,自然で違和感のない再構成画像が得られ,デノイズによってアーチファクトの除去が可能になり,画質向上に貢献する。従来からの高分解能撮影であるUltra High Resolutionにおいても,iDose4を適用することで,微細構造の描出が可能となる。また,整形インプラントの金属アーチファクトを除去する画像処理法として,「O-MAR(Orthopedic Metal Artifact Reduction)」が紹介された。O-MARを用いることで,人工骨頭などのアーチファクトを補正して読影を可能にする。dual energy法など特殊な撮影をすることなく,簡単に金属アーチファクトを除去した画像が得られる。

64/128スライスCT「Ingenuity CT」

64/128スライスCT「Ingenuity CT」

 

日立メディコ社(現・富士フイルムメディカル社)は,64列マルチスライスCT「SCENARIA」を展示し,心臓撮影と被ばく低減技術における新技術を発表した。従来より搭載されていた,ノイズおよび被ばく低減を可能にする逐次近似法を応用した「Intelli IP」が,統計学的処理の精度を向上させ,「Intelli IP(Advanced)」として搭載された。ノイズ低減レベルを7段階に変更可能で,約40~50%のノイズ低減効果を実現し,より低線量での撮影が期待できる。また,心臓撮影技術として,SCENARIAには従来から「IntelliCenter」を実装している。左右に各8cmスライドする寝台と専用のBow-tieフィルタを組み合わせることで,撮影対象である心臓をFOVの中心にセットし,心臓以外の周辺部への被ばくを最小限に抑える。さらに,最新技術として「CardioConductor」と「CardioHarmony」が搭載された。CardioConductorは,息止め練習時の被検者の心拍変動から,心臓撮影時の再構成タイプやピッチなどを自動設定し,撮影時の作業効率を向上させる。また,CardioHarmonyは,心臓撮影後に,動きが最も少なく,診断や解析に適している心位相を自動で探索した上で再構成するため,作業時間を短縮することができる。これらのほか,CTエリアでは,異なる角度のCT画像を高速に切り替えて表示し,専用3D眼鏡を用いてステレオ視する画像表示機能「eXtation,3D Realizer」も実機展示された。

64列マルチスライスCT「SCENARIA」

64列マルチスライスCT「SCENARIA」

 

GE社は,「Discovery CT750 HD FREEdom Edition」と「Brivo CT385」の展示を行った。Discovery CT750 HD FREEdom EditionはRSNA 2011でも展示された同社の最上位機種で,心臓の撮影機能を強化している。モーションアーチファクトを抑えるSnapShot Freezeやdual energy imaging技術GSIなどの機能を搭載。GSIは,心臓撮影用CTとしては初めての搭載となり,冠動脈の石灰化した箇所を分離したり,アーチファクトのない心筋画像が得られるようになる。Brivo CT385は,高齢者などの被検者の検査が容易に行えることをコンセプトに開発された16列マルチスライスCT。診療所や中小規模病院など設置スペースの限られた施設でも導入しやすく設計されており,本体は173cm(高さ)×180cm(幅)×97cm(奥行き)とコンパクト。設置面積は10m2となっている。省電源設計も特長としており,シングルスライスCTと同じ40/30 kVAの電源で使用できる。最小スライス厚0.625mm,ヘリカルピッチ1.75で高速撮影が可能。検査時間の短縮化により,被検者の負担も軽減する。さらに,ODM(Organ Dose Modulation)機能により,水晶体などの放射線感受性の高い臓器の被ばくを抑えている。

心臓撮影の機能を強化した「Discovery CT750 HD FREEdom Edition」

心臓撮影の機能を強化した
「Discovery CT750 HD FREEdom Edition」

 

16列マルチスライスCT「Brivo CT385」

16列マルチスライスCT「Brivo CT385」


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