2013年:ハードウエアの設計の見直しなどが進み,ハイエンド装置の技術を取り入れたコンパクトな装置が多数登場

2025-3-31


数年前には最先端の技術としてハイエンド装置に搭載されていた技術が,普及機に搭載されるようになった。ハードウエアの設計を見直し,よりコンパクトになったCTの新製品なども複数見られ,また,引き続き,被ばく低減は重要なキーワードとなっている。

フィリップス社は,新しい画像再構成技術や,「Brilliance iCTシリーズ」「Ingenuityシリーズ」の上位機種を紹介した。RSNA 2012で発表されたシステムモデル逐次近似画像再構成法「IMR」は,1)FBPと比べ最大90%のノイズ低減,2)低コントラスト検出能の向上(インデックス比較でFBPの2.7倍),3)コンパクトな専用画像再構成ユニット「IMR Cube」による超高速再構成スピード(999枚の画像の再構成が5分以内),4)心電図同期検査に対応していることが特長である。IMRはその適応を,RSNA 2012では躯幹部領域〔IMR(Body)〕,ECR 2013で心臓領域(IMR Cardiovascular),ITEM 2013では頭部領域(IMR Neuro)と広げている。一方,ハードウエアでは,256スライスの「Brilliance iCT」,128スライスの「Ingenuityシリーズ」の上位機種となる「Brilliance iCT Elite」が紹介された。Brilliance iCT Eliteは,IMRを搭載するために最適な技術を搭載した装置で,新検出器「NanoPanelII」と再現性の高い操作性を持つユーザーインターフェイス「iPatient」を実装している。また,従来からある逐次近似画像再構成技術「iDose4」が,64スライス以上の全機種に標準搭載しての販売となり,オプションとしてBrilliance iCTシリーズとIngenuityシリーズにIMRが搭載可能となることが紹介された。

フラグシップモデルの「Brilliance iCT Elite」

フラグシップモデルの「Brilliance iCT Elite」

 

東芝メディカルシステムズ社(現・キヤノンメディカルシステムズ社)は,80列160スライスの「Aquilion PRIME」と,「Aquilion ONE / ViSION Edition」の2機種が展示された。Aquilion PRIMEは,初代が2010年12月に発表されたが今回,設計を見直し,デザインを変更。780mmのガントリ開口径を維持しつつ,体積を34%,重量を28%削減している。コンパクトな筐体となったことに伴い,最小設置面積も14.8m2となったほか,電源容量を抑えた省エネルギー化により,16列CTなどのコンパクト機種からの更新ニーズにも対応する。同社マルチスライスCTの最上位機種として,0.5mmスライス厚×80列の検出器を搭載。ガントリの回転速度は0.35s/rotで,80列検出器専用DASによる高い時間分解能を持ち,64列CTと比べ約2倍の高速撮影ができる。また,スキャン中から画像再構成をバックグラウンドで並行処理したり,容易なポジショニングを支援する84mm左右動寝台の採用により,検査スループットが向上する。同社の被ばく低減技術「AIDR 3D」も搭載しており,画像ノイズを最大で50%,被ばく線量を最大で75%低減できる。一方,Aquilion ONE / ViSION Editionは,ハードウエアの設計を見直し,基本性能を向上。従来0.35s/rotだったガントリ回転速度が0.275s/rotに高速化されたほか,DASも新設計となり,2910view/sのデータ収集,25ギガビット/sのデータ転送が可能となった。X線管も900mAという高出力を実現した。

コンパクト化・省スペース化した「Aquilion PRIME」

コンパクト化・省スペース化した「Aquilion PRIME」

 

第二世代のADCT「Aquilion ONE / ViSION Edition」

第二世代のADCT「Aquilion ONE / ViSION Edition」

 

GE社は,「Discovery CT750 HD FREEdom Edition」(以下,FREEdom Edition)と,新製品の「Optima CT660 Discovery Edition」を展示した。FREEdom Editionは,心臓検査機能を強化したCT装置として2012年に発売された同社CTの最上位機種。検出器にはガーネットを採用して,超高分解能を実現し,心臓を含む全身領域で高速撮影/高画質を提供するほか,高速kVスイッチング技術によりdual energy imaging「GSI」が可能となっている。新製品のOptima CT660 Discovery Editionには,このFREEdom Editionの動き補正技術「SnapShot Freeze」と,単純撮影時などの息止め時のデータなどを利用し,管電圧・管電流・撮影方式・撮影ピッチ・再構成方法・再構成位相などを全自動設定する「SnapShot Assist」が搭載され,心臓検査を強化し,かつ,より臨床で使い勝手の良い装置として開発された。また,Optima CT660シリーズの新製品として「Optima CT660 Pro Advance」「Optima CT660 Advance」の2機種が発表された。Optima CT660 Discovery Edition を含む3機種は,Optima CT660 FDシリーズをベースに国内の医療機関の声を反映した製品として国内で開発・製造された。Optima CT660 Pro AdvanceとOptima CT660 Advanceの2機種には,寝台を高速に往復させながら500スライスの4D収集を可能にする「Volume Helical Shuttle」が新たに搭載されている。

同社CTの最上位機種「Discovery CT750 HD FREEdom Edition」

同社CTの最上位機種
「Discovery CT750 HD FREEdom Edition」

 

新製品の「Optima CT660シリーズ」

新製品の「Optima CT660シリーズ」

 

シーメンス社は,コンパクトで経済性を考慮した64マルチスライスCT「SOMATOM Perspective」を展示した。従来のシングルスライスCTと同じ面積に設置可能で,展示では日本の医療機関で実際に設置されている13.8m2の空間を再現し,コンパクトさを実感できるようになっていた。また,電源や空調設備,ストレッチャーでの搬送などワークフローにも配慮されており,心臓検査まで対応できる高いパフォーマンスがポイントである。また,ハイエンドの「SOMATOM Definition Flash」や「SOMATOM Definition Edge」に搭載されている次世代型検出器「Stellar Detector」も展示された。フルデジタル化することで電子ノイズやクロストークを抑え,低線量で高画質の撮影を可能にする。

高画質・コンパクトを実現した64スライスCT「SOMATOM Perspective」

高画質・コンパクトを実現した64スライスCT「SOMATOM Perspective」

 

日立メディコ社(現・富士フイルムメディカル社)は,64列128スライスCT「SCENARIA」を展示した。2010年に発売したSCENARIAは,2012年7月から128スライス対応にシステムをバージョンアップし,倍密度での画像再構成が可能となった。従来の64列装置を導入している施設でも,システムのバージョンアップで128スライス対応にすることが可能である。バージョンアップすることで,1mmや2mmといった高い空間分解能が求められる耳小骨などの撮影においても,高分解能の画像が期待できる。また,左右に80mmずつ,計160mmの移動が可能な横スライド寝台は,心臓だけでなく肩などの撮影の際に,撮影中心により近づけることが可能となる。全身どの部位でも0.35s/rotの高速撮影を可能とし,三次元画像再構成アルゴリズム「CORE法」の採用でハイピッチ撮影を実現。180mm/sの撮影によって,胸腹部を3.8秒,胸部だけの場合は1.7~1.8秒程度で撮影できる。SCENARIAには,逐次近似法を応用した画像処理技術Intelli IPの第2世代となるIntelli IP(Advanced)を実装しており,低線量撮影時の画像ノイズを低減できるほか,被ばく線量を抑えた検査が可能となる。また,高周波強調フィルタ適用時のノイズを効果的に低減できるため,ステント内腔の評価などにおいて有用である。

128スライスに対応した「SCENARIA」

128スライスに対応した「SCENARIA」


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