2019年:画質改善や高精度なポジショニングなど,AIを活用した技術を前面に打ち出す展示が増加

2025-3-31


AI技術の進歩に伴い,放射線科領域での活用にも広がりを見せ,AIの技術を搭載した製品を前面に打ち出す展示が目立つようになった。GE社がディープラーニングを用いて開発された画像再構成アルゴリズム「TrueFidelity」を発表したほか,前年に続き,キヤノンメディカルシステムズ社の画像再構成技術「AiCE」や,シーメンス社の「FAST 3D Camera」も注目された。

GE社は,RSNA 2018において,GE創業者のトーマス・エジソンの名を冠した人工知能(AI)とbusiness intelligence(BI)のプラットフォーム「Edison」を紹介したが,ITEM 2019では,そのEdison Platformを用いて開発されたCT画像再構成技アルゴリズム「TrueFidelity」を発表した。TrueFidelityは,ディープラーニングを用いて開発されており,従来の画像再構成技術とは一線を画している。従来の画像再構成技術を用いたCT画像は,画質が読影する医師にとって違和感のあるテクスチャとなってしまい,特にノイズを低減すればするほど,その傾向が強くなるという課題があった。そこで,TrueFidelityでは,FBP法で高線量で撮影した診断に適した画像を教師画像としてディープラーニングを行った。これにより,大幅に線量を落としても,高線量で撮影を行ったような鮮明な画質を得ることができる。また,全身の撮影に適用できるのも,TrueFidelityの特長である。特に,高い密度分解能が要求される頭部や腹部領域の検査で,画質を維持しつつノイズを低減し,読影する医師の負担軽減や診断能の向上に寄与する。放射線被ばくの感受性が高い小児検査でも大幅な被ばく低減が可能となる。TrueFidelityは,ハイエンド装置の「Revolution CT」に搭載可能である。オプションとして提供されるほか,すでにRevolution CTを導入している施設には,アップグレードで対応可能となっている。

「TrueFidelity」(右)は大幅にノイズ低減を実現

「TrueFidelity」(右)は大幅にノイズ低減を実現

 

TrueFidelityが搭載可能な「Revolution CT」

TrueFidelityが搭載可能な「Revolution CT」

 

キヤノンメディカルシステムズ社は,高精細CT「Aquilion Precision」とADCTのフラッグシップである「Aquilion ONE / GENESIS Edition」を展示するとともに,ディープラーニングを用いた画像再構成技術「AiCE」の技術紹介と最新臨床データをモニタで紹介した。AiCEは,ディープニューラルネットワーク(DNN)を用いてCTの画像再構成を行い,空間分解能向上とノイズ低減を図る。教師データとしてMBIR(FIRST)を応用したデータを用いていることが特徴である。ITEM 2018でAquilion Precisionへの搭載が発表されたが,同年11月にはRSNA 2018に合わせてAquilion ONE / GENESIS Editionへの搭載が発表された。適応可能な領域は,Aquilion Precisionが「body」,Aquilion ONE/GENESIS Editionが「lung,body,cardiac」となっているが,さらにそのほかの領域にも展開していくとのことだ。2019年1月に販売を開始した高機能16列マルチスライスCT「Aquilion Start」は,上位機種で培ってきた「PUREViSION Optics」や,AIDR 3D EnhancedやSEMARといった高画質化技術を標準搭載し,最小設置面積9.8m2とコンパクトな装置になっている。「NAVI Mode + 」によってCT検査の一連の操作を対話形式でセットでき効率的な検査をサポートするほか,16列CTとしてコストパフォーマンスや運用サポートなどを含めた導入のしやすいサービスを提供することもアピールした。

高精細CT「Aquilion Precision」

高精細CT「Aquilion Precision」

 

ディープラーニングを用いた画像再構成技術「AiCE」では,小児の撮影でHalf再構成画像でフル再構成との比較画像を掲示。遜色ない画質が得られている。

ディープラーニングを用いた画像再構成技術「AiCE」では,小児の撮影でHalf再構成画像でフル再構成との比較画像を掲示。遜色ない画質が得られている。

 

シーメンス社は,AI技術搭載の「FAST 3D Camera」とハイエンドクラスのDSCT「SOMATOM Drive」を組み合わせたシステム,タブレット操作が可能な「SOMATOM go.Top」を展示した。ITEM 2018で発表されたFAST 3D Cameraは,SSCTの最上位機種「SOMATOM Edge Plus」に加え,新たにSOMATOM Driveにも対応した。寝台を見下ろすように天井に取り付けられたカメラと赤外線センサで寝台に横たわった被検者を撮影・計測し,3Dモデリングを行う。そのデータをAIアルゴリズムで解析し,自動的にアイソセンターになるようにポジショニングする。最適なポジショニングが行われることで,再撮影のリスクを軽減して,画質の向上を図れる。さらに,被ばく線量の低減にもつながるほか,スループットの向上にも寄与する。FAST 3D Cameraへの対応が発表されたSOMATOM Driveは,管電流が最大1600mAまで設定できるハイパワーX線管「Straton MX Sigma」を採用。低電圧撮影でも高画質を実現し,被ばく線量や造影剤量の低減を図れる,ハイエンドクラスにふさわしい被検者にとっても優しい装置である。さらに,検出器は「Stellar infinity Detector」を搭載しており,スキャンスピード458mm/s,時間分解能75msを実現。心臓CTにおいて,高心拍の被検者に対してβブロッカーを用いない撮影が可能になる。一方,SOMATOM go.Topは,ITEM 2018で初披露されたモバイルワークフローCT。ガントリ前面に固定できるタブレット型のコンソールを採用。このタブレットで,患者登録から撮影部位・プロトコールの設定,撮影後の画像確認まで,ほとんどの操作を行える。タブレットを持ちながら寝台横で被検者の顔を見ながら撮影業務を進めることができる。このほか,装置本体と造影剤のインジェクタを一体化していることもSOMATOM go.Topの特長である。さらに,両機種ともに,X線スペクトラムの最適化を図る技術として,フィルタの素材にスズ(Sn)を用いた「Tin filter technology」を搭載。従来に比べ大幅な被ばく低減を実現し,胸部単純X線撮影と同等の被ばく線量で高画質画像を得られるようにした。

AI技術によりポジショニングを自動化する「FAST 3D Camera」

AI技術によりポジショニングを自動化する「FAST 3D Camera」

 

「FAST 3D Camera」は「SOMATOM Drive」にも対応

「FAST 3D Camera」は「SOMATOM Drive」にも対応

 

フィリップス社は,上位機種の二層検出器搭載「IQonスペクトラルCT」と,128スライスのマルチスライスCT「Incisive CT」,16スライスのマルチスライスCT「Access CT」の新製品2機種をモックアップやモニタで紹介した。これらのうち,大々的にアピールされたIncisive CTは,“Tube for Life”をコンセプトに,医療機関が抱える財務や臨床,運用などの課題に対するソリューションとして開発された。多くの技術により高い耐久性を有するX線管球「vMRC管球」は,Incisive CT専用に開発された。通常,2~3年で交換が必要となる管球の長寿命化を図るとともに,保守契約と併せて運用することで,耐用期間(10年)のX線管球にかかるコストを抑制・平準化することができる。運用面においては,ガントリの前面左右に「OnPlanタッチスクリーン」を搭載。患者の近くで,患者情報の登録や確認,撮影条件設定が可能となっている。操作性向上と検査の標準化向上に貢献する自動位置決め機能「iPlanning」と併せて活用することで,データ取得までの時間を約19%短縮し,ワークフローを改善させる。また,リモートサポートにも対応しており,装置の状態を常時モニタリングし,問題が生じた際にもリモートサービスで迅速に対応することで,ダウンタイムを最小限に抑えることができる。一方,新製品のAccess CTは,確かな診断とコスト削減という,多くの医療機関が持つニーズに応える装置で,ブースではモニタによる紹介が行われた。0.75 s/rot,X線管球熱容量3.5MHU,検出器幅0.8mmの基本性能に加え,フラッグシップ装置に搭載されている画像ノイズ低減技術「iDose4」を搭載し,被ばく低減に貢献する。また,線量を抑えた撮影はX線管球の長寿命化にもつながり,コスト抑制も可能になる。

新開発の管球が搭載された128スライスのマルチスライスCT「Incisive CT」

新開発の管球が搭載された128スライスのマルチスライスCT「Incisive CT」

 

日立社(現・富士フイルムメディカル社)は,64列マルチスライスCT「SCENARIA View」と,64列/128スライスCT「Supria Grande」のモックアップを展示した。これらのうちSCENARIA Viewは,逐次近似処理技術「IPV(Iterative Progressive reconstruction with Visual modeling)」が大きな特長で,FBPと比べ画像ノイズを最大90%低減,被ばくを最大83%低減,高コントラスト分解能と低コントラスト検出能が最大2倍という性能を実現している。Full IRで課題とされる画像の質感(テクスチャ)についても,周波数特性をFBPに近づけることで改善されている。また,高速化・自動化のソリューション「SynergyDrive」も実装し,被検者の入室から退室,画像処理までの一連の検査時間を短縮し,検査スループット向上に貢献する。「AutoPose」機能では,スキャノグラムから画像処理を行って撮影範囲の自動設定が可能で,操作者は設定された範囲を確認・調整するだけで,すぐに撮影に入ることができる。これにより,従来と比べ高い再現性と時間短縮が可能となっている。さらに,ガントリは80cmの大開口径ボアを搭載しながら,コンパクト,かつ被検者に圧迫感を与えない滑らかな四角楕円デザインを採用。3ユニット構成で,日立CTの特長である高い設置性も確保している。ガントリ前面の24インチタッチモニタ「Touch Vision」では,11か国語表示,手話表示,また小児向けのアニメーション表示が可能で,適切で確実な検査の実施を支援する。開口径の拡大に併せて,テーブルの横スライド機能も200mmへと拡大し,さらにポジショニングをしやすくなった。撮影機能としては,金属アーチファクト低減技術「HiMAR」や「Dual Energy Scan」を搭載。80kVと140kVの2つのエネルギーによる撮影で異なるX線吸収率の画像を得るDual Energy Scanは,同じ位置を2回ずつ撮影,または同一のらせん軌道で撮影する“軌道同期スキャン”の2種類の撮影法がある。ほかにも,テーブルの高速移動で80mm範囲の頭部パーフュージョン撮影を可能にする「Shuttle Scan」も実装している。

64列マルチスライスCT「SCENARIA View」は2018年度グッドデザイン賞を受賞

64列マルチスライスCT「SCENARIA View」は2018年度グッドデザイン賞を受賞

 

逐次近似処理技術「IPV」による画像

逐次近似処理技術「IPV」による画像


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